あゆみと初めで過ごす夜。僕は、あゆみを狙っているらしいオヤジたちを警戒した。彼らは本当に、僕たちが兄妹で、夜も同じパーティションにいるか確認に来るだろうか?
僕は念のため、就寝前にブルーシートの裾とパーティションの脚を紐で結び、簡単には捲られないようにしておいた。そして、僕がブルーシートに背を向けて眠った。すると…
夜中の3時過ぎ頃、何者かが、ブルーシートの裾を捲ろうとする気配で、僕は目が覚めた。
『マジか…』
僕が低い声を出して、大げさに咳払いをすると、その人物はそそくさと去って行った。
翌朝、あゆみにその話をすると、
「怖い…やっぱり、あなたに一緒にいてもらってよかった…」
と震える声で言った。
その日の朝、親からスマホに着信があり「大学も休みだろうから、とりあえず帰ってこい」と言われた。だが、この状態のあゆみを置いて、ひとりだけ避難所を出る訳にはいかない。
僕は「避難所にいるけど、人手が足りなくて手伝っているから」と言い訳して電話を切った。
日中は、アパートに戻って散乱した部屋の片付け。その後は親への説明通り、支援物資の仕分けを手伝ったりもした。
あゆみは洗濯やパーティション内の片付けの他、中学校の勉強もした。
夕食が終わると、眠くなるまで延々と、互いの学校生活の話をした。失われた日常を、懐かしむように。
あゆみは、クラスメイトのこと、先生のこと、部活動のこと。
僕は、大学の中がどんな作りになっているか、どんな教授や講師がいるか、自分が何を研究しているかなど。
面白い話でも、そうでもない話でも、互いに真剣に耳を傾け合った。テレビもラジオもなく、僕のスマホの充電も限られている。時間だけはいくらでもあった。
これほど、知り合ったばかりの女の子と、濃密なコミュニケーションを長時間取ったのは、後にも先にもこの時だけだったろう。
2日目の夜も、僕はオジサンたちの深夜の来訪を警戒していたが、誰も来なかった。おそらく、彼らのネットワークで『あの子は男と一緒に射る』と知れ渡ったのだろう。とりあえず、ひと安心だ。
しかしそうなると、今度は僕自身の性欲が…
あゆみはどちらかと言えばボーイッシュな、さっぱりした出で立ちの少女。同世代の男の中には『女として見られない』と言うやつも多いだろう。だが、僕にとっては…最高に『好みのタイプ』だった。
消灯時間になると、あゆみがどんな姿で眠っているのかも、よく見えなくなる。その代わり、匂いが…
暗闇の中、弱い扇風機の風に乗って、少女の甘い汗の香りが漂ってくる。これが、驚くほど暴力的に、僕の性欲を掻き立てた。
3日目の深夜、僕はとうとうガマンの限界が来て、暗闇の中、あゆみの眠っている方に這って行った。
僕に背を向ける形で、静かな寝息を立てるあゆみ。そのすぐ横に正座して座ると、あゆみはまるで『触っていいよ』というように、寝返りを打って仰向けになった。しかし、寝息の乱れはない。
僕はゆっくりと手を伸ばし、左の乳房に触れた。とんでもない柔らかさ!眠るときはブラは外すらしく、薄いTシャツ越しに、素肌の熱が伝わってくる。
偶然にも、人差し指の指先に、フニフニの乳首が触れた。反射的に、僅かに指先
を動かすと、あゆみの全身がビクビクッと震え、寝息が徐々に荒くなって行った。
スケベなロリオヤジなら、こんな反応を見れば
『眠っているのに感じてるのか?』とか『この子の本能が、男の愛撫を歓迎しているらしい』など勝手なことを言いそうだが、僕は単純に、自分のしている事が怖くなった。
そして、パーティションの反対側に戻り、毛布を被って何もなかったことにしようとした。
その夜は、朝まで一睡もできなかった。
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