詩織の父親は、有名企業のサラリーマン、母親も同じ会社のOLだった。
ふたりとも帰りが遅くなるので、小6の娘のために、セキュリティのしっかりしたマンションを探していた。つまり、詩織は鍵っ子ということだ。
俺は希望に沿いそうな物件の資料を並べながら、精一杯の愛想を作って何度も詩織に話し掛けた。
部屋の間取り、内装の趣味、洗面台や浴室の使い勝手など、なるべく親だけじゃなく、詩織の意見も聞くようにしたが、詩織は「いいと思います」「素敵です」など手短に感想を言うだけで、笑顔も見せなかった。
俺が勧めた物件の内のひとつを気に入り、早速内見という話になったので、俺は3人を会社の車に乗せ、そのマンションに連れて行った。
中の間取りを案内しながら、頭の中では別のことを考える。
このマンションの管理会社の社員の俺なら、エントランスのオートロックを突破するのはたやすい。だが、詩織がひとりで在宅している時間に室内に入ろうとすると、バーロックが掛かっている可能性が高い。これは、いくら合鍵があっても外せない。かと言ってチャイムを鳴らし、詩織にドアを開けさせようとしても、警戒心の強い詩織は応じないだろう。
それなら、詩織が帰宅する前に、部屋に侵入すればいい。そして、どこかに隠れて詩織が子供部屋に入るのを待つ。帰宅した詩織に見つかりにくく、子供部屋の中の様子が分かる部屋となると…
「こちらの、突き当たりのお部屋が玄関から遠く、陽当たりもいいので、お嬢様のお部屋向きかと思われます。お隣は…ご夫婦の寝室でしょうか?」
そう言うと詩織と詩織の母親は、僅かに頬を赤らめた。その反応から俺は、多分この家族は俺の提案通りに部屋を使うだろうと推察した。
家族がこの物件に決めるというので、契約の日取りを約束し、家の近くまで送っていった。
その足で俺は、鍵の専門店に行き、詩織が入居するだろう部屋の合鍵を作った。
このマンションの玄関鍵は、ティンプルキー。最新型はカードキータイプだが、中の磁力が弱くなったり、災害で長時間停電するといきなりドアが空かなくなるので、俺の勤め先の管理物件は主にティンプルを使っていた。複製されづらく、開錠できなくなるトラブルが少ない。
複製されづらいと言っても、ティンプルのコピーが作れる業者が限られている上に時間と費用が掛かるということなのだが、不動産屋の俺は鍵の専門店と付き合いがあるし、あの詩織の身体が手に入るなら多少の金や時間は惜しくなかった。
その後、詩織の一家はそのマンションに入居し、詩織はそこから小学校に通い始めた。
俺はその部屋の間取り図を眺めながら、詩織の部屋の隣に潜み、帰宅して部屋に入った所を襲って拘束し、レイプするまでを繰り返しシミュレーションした。
また、彼女の帰宅時間を把握するため、マンションの前の道に自分の車を停めて、張り込みをした。詩織の帰宅がだいたい16:00、母親の帰宅は18:00過ぎ。この2時間が勝負だ。
そして、ある春の日。俺はついに計画を実行に移した。
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