ことりちゃんを自転車に乗せて、全速力で扱ぐ僕がいました。
女の子って、こんなに軽いんだな。
僕の後ろで、時おり歓声を上げることりちゃん、楽しんでくれている様でした。
今日初めて会ったのに、こうしてデートみたいなことになって、しかも今晩は、二人っきりという状況にドキドキが止まりません。
生まれて初めての幸せを槌みしめながら、自転車を扱ぎます。
男の人が扱ぐ自転車って、気持ちがいいな。
今日は、本当にいろんな事があったけど、今は、スッキリしていて、女って強いんだなって実感しました。
帰りの車の中で、これからおかあさんと一緒に帰ると言った瞬間、狼狽(うろた)えて別人のように下手に出る父親が滑稽でした。
お母さんと今晩ゆっくり話し合って貰えることが出来たので、私は満足でした。
知らない土地での、家族以外の人と初めての外食、少し大人に近づいたみたいでうきうきしていました。
程なくファミレスに着きました。
わ、ドラッグストアの二階がソイゼリアぁ、わ、あっちには、100均もあるっ。
ね、急がないと閉まっちゃうよ、早くはやくっ。
いつもランチにしか行かないから、すっごい嬉しいよぉっ。
はしゃぐことりちゃん、僕は、生まれて初めてのデートを満喫していました。
目の前には、最高の笑顔でご飯を頬張る天使さんがいました。
あーーっもう、さいっこうに幸せ、ハンバーグもスープもプチシュリンプもジェラートもぜんぶ全部、美味しかったぁ。
すっごい美味しかったなぁ、全部一緒に食べるの、夢だったのっ。
あーっまた行きたいなぁ。
ね、こんなに無理はしなくていいから、また連れてってね。
男ならを骨抜きにならないはずの無い、笑顔を投げかけてくることりちゃん。
あぁっ、か、かわいいいっ、何て素敵な笑顔なんだよ、ことりちゃん、可愛いすぎだろ。
ああっ、もうめちゃめちゃ好きだぁっ。
階段を下りながら、後ろのことりちゃんが急に気になり、思わず振り返ります。
胸元近くまである大きな襟のついたワンピースが、照明に照らされて、身体の線が浮かんでいます。
ついさっき、部屋で見た光景やこの後の事を思うと、いやが上にも気持ちが昂ってきます。
さ、ミツキヨいこ。
ドラッグストアで何買うの?
んーー。ん?何?。
んーーー。とりあえず彼女の後をついていきます。
立ち止まると、そこは生理用品売り場です。
夜用と昼用を持ち、二つとも買ってもいい?
そろそろあると思うから。
あ、ああ、いいいよ。
こんな会話ができる日が来るなんて、昨日までの自分が聞いたら、びっくりだろうな。
気がつくと、ことりちゃんは、反対側の棚にある、避妊具やゼリー、トンガを興味深そうに見ています。
ねぇ、この潤滑ぬるぬるってなに?使ったことある?
ええっ、い、いやっ、な、ないよ。
手にとって裏の使い方を見ています
これ買って試してみようよ。
後これは?とオナニー器具を手に取っています。
これは、なんだろう?どうやって使うんだろ?と興味津々の様子です。
店内の客(男性)の殺気漂う視線を感じます。
とりあえず、潤滑ぬるぬるをかごに入れて、そそくさとレジに向かいます。
ゼリーは、18歳以上対象らしく、間の悪いことに、きれいなお姉さんにかごを出す事に。
初めての生理用品購入にパニくりましたが、どうにか黒い袋に入れて会計を済ませました。
とんだ罰ゲームだよ、まったく。
人の苦労も知らず、ことりちゃんのテンションは、更に上がります。
100均に行くと、物欲が爆発したのか、歯ブラシ、プチプラコスメ、シートマスク、シャボンボール?、ヘアブラシ、ヘアゴムや髪留め、手鏡、貼る鏡、耳栓、お菓子などを買って、お腹いっぱい、大満足の様子です。
閉店を知らせる曲が流れたので、何とかそのくらいで店を出ることが出来ました。
帰りの自転車では、後ろからかわいい歌声が聞こえてきます。
僕は、幸せな気持ちで、星空を眺め自転車を扱ぎます。
天の川が頭上に輝いていました。
見慣れた星空なのに、その日は、特別きれいに瞬いて見えました。
内心、コンドームを買いそびれた事が気がかりでした。
まだ、ことりちゃんと出会って一日も経っていないのに、付き合って一緒に暮らしているような錯覚に陥ります。
自分の部屋なのに、別の空間のようでした。
家に入ると、早速買った歯ブラシや、身体を洗うボディタオルなどを浴室に運んでいます。
程なく、お湯が流れる音が聞こえてきました。
ね、お風呂先に入ってもいいよね?
絶対絶対、着替えとかも覗かないでね。
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