『夜這い』のマンガに出てくる男たちは、異口同音に「女は一度ヤッちまえばこっちの物」と言っていた。
最初俺は、何がこっちの物なのか分からなかったが、繰り返し読む内に『犯す前はこちらを嫌い、反抗的だった女も、一度犯されて感じまくる姿を見られると、従順になり、何度でもセックスに応じるようになる』といった意味だと分かってきた。
沙弥もそうなるだろうか?
もしそうなら、視線を送ったり、告白したりの段取りを踏む必要はない。
沙弥の家の寝室に忍び込み、寝ている間に寝間着を脱がし、胸やアソコを愛撫して感じさせてやればいい。目を覚まし、抵抗するかも知れないが、細くて小柄な沙弥に、俺が力で劣ることはないだろう。押さえつけて最後までセックスをやり遂げれば、それより後は『こっちの物』。毎晩でも沙弥の部屋に通い、犯してやる。そうする内に沙弥も、今想っている男の事は忘れて、俺を愛するようになるだろう。
そこまで都合よくならないとしても、このままフラれてただの同級生で終わるより、ずっとマシに思えた。
俺は『夜這い』の中の、セーラー服の女子高生が叔父に夜這いで処女を奪われ、その後も繰り返し犯されて快楽に溺れて行く話に、沙弥を重ねて、毎晩何度も繰り返し読んではオナニーした。
そうする内に、『沙弥の家の寝室に忍び込んで沙弥を犯す』という思い付きは、ただの妄想から、現実に実行するべき計画に変わった。
あとは、いつ実行するか。それだけだった。
何か理由や思惑があって、その日を選んだのではない。初夏のある日、家族が寝静まった後、ひとりでその場面を想像しながらシゴいていた時、ふと『いつ実行するかって、いつだ?…今夜これからじゃ、ダメなのか?』と考えた。そして、いくら考えても、ダメな理由は思い浮かばなかった。
俺は起き上がり、寝間着を脱ぎ捨て、シャツとズボンを履いて家を抜け出した。
当時、俺や沙弥の家のようなそこそこの規模の農家は、生垣に囲まれた屋敷に住んでいた。家の間取りはどの家もほとんど一緒。生垣が切れた所から敷地に入ると、正面に玄関。さすがに夜は鍵が掛かっているが、そこから左手に回り込むと、前庭に侵入できる。屋敷の前庭側には、長い縁側。雨の日や寒い時期は、縁側の先の雨戸が立てられていたが、この季節ならそれもない。その気になればいくらでも縁側を越えて居室に侵入できた。現代では考えられない不用心さだった。
沙弥の家の敷地に入るのはその夜が初めてだったが、入ってみると思った通り、簡単に前庭から縁側へ上がり込めた。紗弥の部屋は、屋敷の玄関から一番遠い部屋だろう、と見当を付けた。どの家でも、未婚の娘は宝物なので、玄関から一番遠い部屋に仕舞われていたのだ。だがそのおかけで、玄関脇の部屋で眠っている沙弥の親父に気づかれず、夜這いをかけることができた。
縁側に座り、その部屋の障子をそっと開けると案の定、沙弥がこちらに背を向けて横向きになって眠っていた。
俺は布団の横まで静かに這って行き、眠る沙弥を観察した。
当時は男も女も、パジャマなど着ていない。寝間着と呼ばれる、浴衣のような着物に、平帯1本だけ。真冬でなければその下に肌着を着ることもなかった。
俺は沙弥の背後から襟元に右手を差し込み、左の乳房に触れた。
生まれて初めて触れる、おっぱいのあまりの柔らかさ、温かさに驚き、俺は思わず手を引っ込めた。だがすぐにまた触りたくなり、もう一度差し込むと、乳房を手のひらの中に収めてゆっくり揉み始めた。
すると、沙弥の呼吸が見る見る荒くなり、やがて「はぁーっ」とひとつため息をつくと、ゴロンと仰向けになった。
俺は沙弥の寝間着の襟を大きく広げた。
月明かりの中、現れた真っ白い乳房ふたつ。『夜這い』のマンガに出てくる女子高生とかより、はるかに小さいが、沙弥が教室で半袖体操着になった時に観察し、想像したものよりずっと大きく、もうしっかり『おっぱい』の形になっていた。
俺はそれをしばらく凝視したが、すぐにガマンできなくなり、夢中でしゃぶり付いた。
すると沙弥は、更に呼吸を荒くし、喉の奥の方から囁くように「ぁ…ぁ…んっ…」と喘ぎ始めた。
俺は沙弥に受け入れてもらえたように錯覚し、更に激しく嘗め、乳首を吸った。
しかしそんな幻想は唐突に、
「だ、だれ!?」
という沙弥の声によって破られ、現実に引き戻された。
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