私は学校に行くと少し落ち着く。
家に居るよりクラスメイトと過ごした方が気が楽だった。
それでも、お父さんが亡くなった事で同情されるのが少し負担だった。
自宅にも学校にも居ずらい雰囲気が有ったのだ。
そして今日からは、昨日の光景が目に浮かぶ・・・。
あんな光景を見せられた上に、高山先生の言葉なんて少しも響かない・・・。
でも、気持ち悪い人だって思ってたけど、本当は私と仲良くしたいだけ・・・。
でも、お母さんとあんな事・・・・、どうしたいか判らないよ・・・。
もしかしたら・・・お母さんの方が、あんなことして欲しっくって・・・いや無い・・・
いく何でも、あんな犬みたいなお母さんなんて・・・。
なんだか授業に集中できない・・・。
『森高さん・・・どうしたの?上の空みたいだけど・・・』
担任の先生から注意される。
『いえ・・・大丈夫です・・・すいません・・・』
気を引き締めないと・・・そう思い授業を受けた。
やっと一日が終わり、授業終りを告げるチャイムが鳴る。
クラスメイトに挨拶して下校しようと校門の方に行くとどこかで見た車が止まっている。
『やあ、お帰り、丁度近くに来たんで迎えに来たよ・・・さあ、乗って・・・』
『良いです・・・歩けるんで・・・』
『まあ、そう言わないで・・・さあ、乗った乗った・・・』
強引に私の手を後部座席に押し込んだ。
私は仕方なく車に乗り込むが、決して信用して乗った訳ではない。
車はゆっくりと学校を出た。
お父さんは余り私と車で出かける事などなかった、仕事が多忙だったので
それは仕方のない事だと理解していた。
けれど、高山先生は近所に来たからと迎えに来てくれた。
本当は優しいのかな?・・・なんて考えてみる・・・・。
よく考えたら、私はお母さん子でお父さんとの触れ合う時間は奪われていた。
もしかすると、お父さんの愛情に飢えていたのかも知れない。
そんな隙が私にはあった。
自分で見た事や、最初に感じた違和感をもしかしたら・・・で高山先生を
正善説な目で見ていまっていた。
お母さんを信じられなくなっていた事も災いしていた。
私は車窓を見ていて自宅に戻っていない事に気が付いた。
『高山先生、どこに行くの?』
『ああ、今朝も言ったけど調子が悪そうだから、病院で検査しようと思ってね・・・
なあに、そんなに時間は掛からないよ・・・お母さんも居るし、心配しないで・・・』
暫くして病院に到着する。
『さあ、着いたよ、お父さんがあんな事になったんだ、精密検査をしておこう・・・』
『ええ・・・今から・・遅くなるんじゃ・・・お母さんに言っておかないと・・・』
『大丈夫だよ、僕が言ってある・・・』
私と高山先生は、院長室に入って行った。
『ちさとちゃん、カバンを置いて着替えておいで・・・』
私は診察前に術着に着替える様に言われる。
『下着も全て脱ぐんだよ、MRIもするからね・・・』
検査用の更衣室で着替える。
言われた通り全てを脱いで術着に着替えた。
パジャマ型のセパレート型の術着は子供用で生地の薄い簡単な物だった。
下着を着けていない為裸でいる様な物だった。
それでも、病院という環境が違和感を感じさせなかった。
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