私が学校から帰るのを待って高山先生の話が始まる。
『ちさとちゃん、色々と大変だったね今日からは僕がお父さんだよ。
何も気兼ねしなくても良いんだよ・・・。
無理にお父さんなんて呼ばなくて良いし、気持ちが整理できてからで良いよ・・・。
なあ、お前・・・』
もう、お母さんをお前と呼んでいる。
それに、私を見る目が気持ち悪い・・・。
『そ・・そうね・・・あな・・あなた・・・』
無理に合わせている事が子供の私にさえ判る・・・。
お母さんがこんな男に・・・状況が理解できない・・・。
どうして高山先生が・・・それしか頭に浮かばない・・・まだお父さんが亡くなって少ししか
経っていないのに・・・。
『私、お父さんは一人だし、高山先生をお父さんなんて思えない・・・』
そう言って席を立とうとする・・・。
『ちさと・・・ダメ・・・座りなさい・・・』
お母さんに嗜められてソファーに座らされる。
『まあ、お前・・・急にはちさとちゃんだって判らないよ・・・まあ、今夜からは
一つ屋根で暮らすんだ、ちさとちゃん仲良くしてね・・・』
そう言いながら、お母さんの肩に手を回す・・・。
高山先生の顔がお母さんの顔に近付く・・・。
お母さんの顔が少し曇った・・・。
どう控えめに見てもお互いを愛しむとか、夫婦愛など微塵も感じない・・・。
お母さんが無理をしている事がヒシヒシ感じられた。
そこまでして・・・、我慢してまで一緒に暮らす事を選んだのは何か問題があると
私は感じていた。
まだ、お父さんの位牌と遺影、お骨が残る私の家に新しいお父さんとしてどんな気持ちで
居るのか?私には理解できない。
それ以上に、お母さんが我慢している意味が判らなかった。
私が戸惑うままに三人での生活が始まってしまった・・・。
※元投稿はこちら >>