翌年のゴールデンウィーク中、雅代、冴子、遥、愛美の四人が、また雅代の家に集まっていた。
居るのはカーペットの上にフカフカのマットやクッションを敷き詰めたリビング。
そこに全裸の四人が、各々寛いだ姿勢で雑談している。
「やっぱり遥君、生徒会長になったわね。」
「そうよ。でも、愛美ちゃんが副会長だから、色々助けてもらってるって言ってるわ。」
愛美は、あの日から数週間して、遥の通う中学校に転入した。
冴子お母さんが、そうさせたのだ。
自称遥様の親衛隊の女の子達が、愛美に対して執拗なイジメを開始した。
一見地味っ子で大人さそうな愛美は、イジメの格好の的になった。
しかし、愛美は屈しない。
私みたいな女の子でも、遥君の彼女なんだ!
負けるものか!
イジメを受けても、無抵抗、または無視した。
最後の大騒動は、二学期も終わりに近い頃の放課後に起こった。
イジメのリーダー格の女の子達は、出来の悪い男子生徒を誘って、愛美を襲わせたのだ。
愛美は男子数人から力ずくで拉致されて行った。
普段開けられない屋上に上がる階段の踊場で、愛美は両手を後ろから男子生徒に捕まれ、女の子から制服の上着を脱がされ、下のブラウスもボタンを外されようとしていた。
「屋上下の階段で、10人くらいがケンカしてる!」
生徒会室で2年書記として会議に出ていた遥は咄嗟に、愛美ちゃんだ!と閃き、現場に走った。
遥の到着前の現場では、階段の上の方にたった一人で、ブラウスと下のキャミソールを破られ、片方の乳房が剥き出しとなっただけでなく、制服のスカートも縦に裂けて太股まで丸見えとなった愛美が、片手に掃除用のホウキを持ち、階段下から襲い掛かろうとする男女8人に身構えている。
髪の毛は乱れてバサバサだし、顔と脛に浅い傷を受けたようで、赤い血の色が見えていた。
掴み合い殴り合いの大立ち回りをしたらしい。
不思議とトレードマークの眼鏡は、まだ低い鼻の上に乗ったままだ。
これが、あの地味っ子の転校生なのか?
取り囲んでいる野次馬も、愛美の変身に驚いた様子だ。
「私は、遥君のもの!
あなた達に襲われたって、負けるものか!
犯されるくらいなら、舌を噛んで死んでやる!」
とすごい気迫で啖呵を切った。
男子生徒3人が、一度に襲いかかった。
愛美は、首に手を掛けた一人の手に噛みついたが、両手を別々の男子に捕まれ、既に破られているブラウスの残りを剥ぎ取られた。
意地悪い目付きの女の子が、下のキャミソールの肩紐を引きちぎって、両方の乳房を剥き出しにする。
さらに、スカートに手を掛けて、裂けた部分を大きく引き裂き、ウエストを千切るようにして引き剥いだ。
愛美はスカート下に紺色の短いスパッツを穿いているが、女の子の手がそのスパッツに伸びる。
見守る野次馬の中には、思いもよらず可愛い転校生の裸が見れるのに喜んで、やれ!脱がせろ!と騒ぐバカ者もいる。
そこに、
「やめろ!」
と、いきなり愛美を押さえていた男子の声が響いた。
自分が押さえている愛美が、目を閉じたと思ったら、わずかに口を開け、そこから舌が覗くのが見えた。
「こいつ、舌を噛む気だ!
本気で!」
そう直感した男子の声だった。
それでも女の子は
「そんな事、出来る訳ないじゃん。
ハッタリよ。
こいつの全裸、皆に見せてやるんだから!」
と言って、愛美の前にしゃがみ込むと、穿いているスパッツに手を掛けた。
スパッツが引き下ろされ、白いショーツが見えた。
「やめろったら!」
それまで愛美の手を押さえていた男子は、いきなりスパッツを脱がせようとした女の子の方を蹴り飛ばした。
愛美の気迫に負けたのだ。
「お前達も手を放してやれ!
こいつ、本当に死ぬぞ!」
男子は仲間にそう訴えた。
遥が駆けつけたのは、その時だった。
「愛美ーっ!」
遥が野次馬を掻き分けて階段を駆け登った時、
愛美は半裸の身体に、男子から学生服の上着を掛けてもらっているところだった。
その様子は、左右に騎士を従え、負傷はしたが最後に勝利を得た戦場の貴婦人のように気高く見えた。
階段の下で、味方だと思っていた男子から蹴り落とされて痛みを訴えている女の子だけが惨めだった。
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