雅代から聞かれて、遥の顔にはっきりと戸惑いと羞恥が表れた。
「いえ、剥いたことは..、ありません。」
それまでちゃんと雅代の顔を見ながら答えていた遥が、顔を背けて答えたのだ。
「ちゃんと私の顔を見てお話し!」
雅代はいきなり立ち上がり、遥の頬を平手でピシャッと叩いた。
どうなるかしら?
泣くかしら?怒るかしら?
しかし遥は、わずかに姿勢を崩し、反射的に打たれた頬にちょっと手を当てただけで、直ぐにまた真っ直ぐ立つと、
「ごめんなさい。」
と素直に謝った。
まあっ、他人から叩かれるなんて、経験したことないでしょうに..。
大した子だわ..。
雅代は、自分の息子となった少年の、想像以上の態度に驚き、そして喜んだ。
「すみません。あの..」
遥の方から、初めて言葉を出した。
「何?はっきり言って!」
厳しげに言った雅代に、遥はこう尋ねた。
「貴女の事を、どうお呼びしたら良いでしょうか..」
うっかりしていた。
雅代の方が急に聞かれて慌てかけてしまった。
養子にしたが、本当に愛情を注ぐつもりは毛頭無いのだ。
ペットか奴隷のように弄ぶつもりだったから、ここは「ご主人様」や「奥様」と呼ばせる方が相応しいと思った。
しかし、家の外で二人でいる時に、誰かと出会って話をする時もあるかもれない。
そんな時に、養子に「ご主人様」の呼ばせるのはまずいだろう。
家の中と外とで、呼び名を使い分けると言う手もあるが、もしこの子が間違ったら困るし..。僅かの間に色々考えたが、結局
「私の事は、お母様とお呼び。」
と言い渡したのだった。
「はい、分かりました。
お母様。」
遥は素直に聞き入れたが、雅代は遥が亡くなった実母以外の女にお母様と呼び掛ける事に、子供ながらどう思ってるかと言うことも気になった。
「貴方はどうなの?
死んだ母親以外の女に、お母様って呼ぶの抵抗無いの?」
そう聞かれて、遥がほんのちょっとだけ、悲しそうな顔をしたように思えた。
しかし、
「いえ、今はお母様だけが僕のお母様ですから..。」
と健気に答えたのだった。
「もう一度、私をお呼び!」
雅代が命じると、遥ははっきりと
「はい、お母様。」
と答えた。
雅代の心の奥に、チクンと小さな針が刺さったような気がした。
しかし、そんな自分を否定するために、雅代は思春期の少年には過酷な事を遥に命じた。
「チンコの皮を剥いてごらん。」
さあ、どうするしら?
さすがに無理よね。
雅代が意地悪く見守っていると遥は、出来るだけ感情を出さないようにと努力してるのがはっきり分かる仕草、表情で
「は..い..。」
と返事をした。
しかし、それから自分のチンコに手を当てるのには、さらに数秒がかかった。
遥の右手が自分のチンコに触れて、親指と人差し指、中指でそっと摘まむようにした。
その指を、そっと引っ張って包皮を剥こうとする。
本当にまだ剥いたことは無いようだ。
皮を剥く自体でかなり痛みを感じているらしい。
雅代から命じられた事を、痛みでなかなか出来ないことに、遥自身も情けなく思っているようにも見受けられる。
何度か剥こうとするが、途中から「うっ..」と小さく呻くと、また皮を戻してしまう。
剥く時に、無表情を装っている顔がひきつるから、かなり痛みがあるのは雅代にも察せられた。
可哀想にも思った。
しかし、そんな仏心を出した自分を叱るつもりも兼ねて、雅代は遥に言った。
「どうしたの?
自分では剥けないの?」
「ご、ごめんなさい。
お母様..。」
再びお母様と呼ばれて、また少し胸の奥がキュンとうずいた。
それを振り切るように、雅代は立ち上がるとこう言った。
「だめね。
私が剥いてげるわ!」
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