冴子は、悪夢にうなされた愛美を自分のベッドに一緒に寝かせている間に、その良い薫りに我を忘れた、と正直に打ち明けた。
「今さら反省してもしょうがないでしょ。
それは雅代も同じはず。」
そうはっきり言われては、旧友を批難する訳にもいかなくなった。
「ただね、娘を百合の変態をしてしまったものの、やっぱり普通の人間として社会に出て欲しいと思うのは親としておかしい?」
それは、雅代も同じ考えだった。
学校の担任に聞いても、遥は同世代の女の子に全く興味を抱かないと言う。
やがては私も歳を取るわ。
私がおばあちゃんになっても、慕ってくれるのは嬉しい事だろうけど、やはり遥には可愛い女の子と結ばれて、人並みの幸せも掴んでほしい。
雅代は、漠然とであるが、そう考えていた。
「冴子。貴女の娘、愛美ちゃんの写真見せて。」
雅代が乗り気になってくれたかと、冴子は喜んでスマホに保存している画像を見せた。
「なに?この子なの?」
雅代はがっかりした。
そこには、顔色の悪い丸顔メガネ、ショートカットの髪型、セーラー服を着た背の低い地味っ子が写っている。
こんな女の子と私の天使が釣り合うと思ってるの?
雅代が腹が立ってきた。
そんな雅代の顔を見て、冴子が言った。
「わかってる。
釣り合わない、って言いたいんだよね。
でもね、うちの子、本当に良い子なんだよ!」
冴子の顔は真剣で、目には涙が浮かんでいる。
あっ、冴子ったら、本当にお母さんになっちゃったんだ..。
雅代は理解した。
「それは私だって、貴女が遥ちゃんにしたみたいに、愛美をおもちゃにしちゃったよ。
でも、愛美も遥ちゃんと同じで、私のこと本当に好きになってくれたんだ。」
冴子が次々と見せる画像には、裸になった愛美や冴子にご奉仕する愛美の姿が写っている。
「雅代だって、遥ちゃんにこんなことしたでしょ。
それに耐えただけじゃなくて、今みたいに慕ってくれる遥ちゃんが可愛くてたまらないはず。
私だってそうなんだ!」
雅代が冴子の顔を見ると、両目から涙がぼろぼろと落ちてる。
冴子の言うことを否定は出来なかった。
でも、愛美の事を遥が受け入れるかは、子供達の問題..。
そう雅代が言うと、冴子は
「それで、良いよ。
いや、それが本当だと思う。
私は、愛美が男って皆が父親みたいなやつだけじゃない、って分かってくれたらそれで良い。」
冴子は雅代の手を握って言った。
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