翌日、雅代は遥を以前連れていった女医冴子のところに連れていった。
全裸の遥を診察した冴子は
「まあっ、お母さんからとっても強く可愛がってもらったのね!」
と驚いたが、ちゃんと必要な診察と治療をしてくれた。
「お尻、早く治したかったら一針だけど縫った方が良いんだけど..」
「痛いの?」
「麻酔はするけど、あまり強いのは使えないのよ。」
雅代のイメージでは、自分があんなに責めて傷ついた息子のアナルに、さらに針が突き刺されるのは可哀想過ぎる気がついた。
雅代が全裸で大きく足を広げて固定されている息子の顔をチラッと見ると、遥は小さな声で
「お母様..、縫っていただいてください。」
と言った。
冴子もそれを聞くと、
「相変わらず遥君は、雅代には出来すぎた息子さんね。」
と微笑んで処置の準備を始めた。
処置自体は僅かな時間で終わった。
遥は苦痛や恐怖を顔に出さず、淡々と治療を受け、終わったら冴子に対して、
「ありがとうございました」
と礼儀正しくお礼を言った。
そんな遥を見る冴子の顔は、以前連れてきた時のように興味本意ではなく、優しい温かい微笑みが浮かんでた。
冴子、変わったわ。
雅代はそう思ったすぐ後、その冴子から別室に誘われた。
「雅代。お願いがあるの。」
真剣な顔だった。
「なにかしら?
遥を貸して、なんて言ってもだめよ。」
とりあえず軽く冗談を言ったのだが、冴子の真剣な顔は変わらない。
「私の娘に、遥ちゃんを紹介して欲しいの。」
これには雅代も驚いた。
冴子とは長い付き合いだし、同性愛の相手だったこともある。
しかし結婚したなんて聞いていない。
「貴女、娘がいるの?」
雅代の問いに、冴子は簡単に内容を話した。
遥と同じ年の愛実と言う女の子がいる。
親族の男性から性的虐待によって怪我をし、冴子から治療を受けた。
その後、親族から引き離して施設に入ったが、冴子はどうしてもその子のことが心配で、ついに養子として引き取ったのだった。
その子が性的虐待のせいで、男性と全く意志疎通をしたがらないのだ。
雅代はその話を聞いて、冴子が遥を見る目が、優しくなっている訳が分かった。
あの優しい目は、自分でも親として可愛い子供を持つ女の目だ。
そうか。
冴子も養子を..。
そこまで考えて、雅代はふと思い付いた。
「でも、冴子。
貴女、もしかしてその愛実ちゃんと..」
冴子は苦笑いのような表情を浮かべると
「そうなの。
貴女と遥ちゃんと同じ..」
と打ち明けた。
※元投稿はこちら >>