陽菜がご隠居様のところで暮らすようになって数ヶ月。
陽菜は月に一度か二度ほど、暇をもらって母親のところに帰る。
母は陽菜の様子を見て、詳しくは聞かなくてもご隠居様に大切にされているらしいことは察した。
陽菜も母親に、ご隠居様との大人の秘密に関することは話さなかった。
しかし、ご隠居様の子種を口に受けてから最初の里帰りの時、陽菜は妹が寝てからそっと母にあの日の事を話した。
「じゃあ、ご隠居様は陽菜の口で熱いものを出したんだね。」
「うん、思わず飲んじゃったんだけど、それからご隠居様の様子がおかしいの。」
「おかしいって、お前に酷くするのかい?」
「ううん、違うの。その反対なの。」
陽菜がご隠居様の子種を呑み込んでから、ご隠居様の陽菜への可愛がり方が変わってきた。
性的な面では、陽菜に気を使いながら、陽菜が承知すれば(ご隠居様が望めば、陽菜は必ず承知していたが)その反応を確かめながら、陽菜の口を使った。
残念ながらご隠居様が射精できたのは、あの時だけだったが、その時の子種を吐き捨てることなく、飲み込んでくれた陽菜がとても愛しく感じていた。
食事も出来るだけ陽菜と一緒に食べるようになったし、寝る時も陽菜を一緒の布団に寝せた。
年寄りのご隠居様にとって、寒くなると温かい陽菜の身体が布団の中を暖めてくれて気持ちよかった。
一人の女中さんが「まるで奥様みたいね。」と冗談で言ってから、陽菜のことを若奥様と呼ぶ人も出てきた。
話を聞いた母親は、ご隠居様が陽菜に恋愛感情を持ち、老い楽の恋を感じているのではないかと心配になった。
「陽菜ちゃん。あなたは、ご隠居様の奥様になりたいの?」
「ううん、そんなこと思ってないよ。
ご隠居様が優しくしてくれるから、ありがたいなって思ってるだけ。」
「そうよね。あなたは、ご隠居様の生け贄になりに行ったのよね。
それを忘れてはだめよ。
ご隠居様に甘え過ぎたり、色々おねだりしちゃだめなのよ。」
賢い陽菜は、母親が心配してくれてるのが分かった。
私、ご隠居様に馴れ馴れしくし過ぎてるんだ。
私はご隠居様から甘やかされたいって思っていたんじゃないわ。
里帰りから戻り、さっそくご隠居様から呼ばれた。
「おお、戻ったか!お母さんと妹は元気だったかい?」
相変わらず優しいご隠居様だっだ。
陽菜はご隠居様から、今日も口に入れて欲しいと言われ、その場で裸になった。
「おや、もう脱いだのかい。
まだわしのチンポをきれいに拭いてないから、ちょっと待っておくれ。
寒いだろうから、火の側においで。」
陽菜は言った。
「私、寒くても良いんです。
ご隠居様、きれいに拭かなくても私は大丈夫。
さあ、舐めさせてください。」
ご隠居様も人生経験は長い。
ああ、母親から調子に乗るなと言われたな。
しかし、わしから大切な娘を酷いことされてるのに、そんなことを教えるとは..。
陽菜の母親も大したものだ。
それを素直に受け止める陽菜も本当に良い子じゃないか。
わしは、陽菜と再婚などして陽菜の人生を狂わせるつもりは無いが、わしが死んだ後もなんとか幸せな人生を送らせたいものだ..。
ご隠居様の心配には根拠があった。
陽菜が、ご隠居様とこのような関係になっていることを、小学校でからかわれたらしい。
「お前、じいさんの夜のおもちゃだって聞いたぞ!」
からかったのは、都会から転校してきたばかりの男の子だった。
他の子供は、皆そのことを知ってはいるが、口に出してからかったりしたらどのような事になるか、ちゃんと分かっている。
ご隠居様を貶すような話をすれば、村八分どころか、生活が全く出来なくなるのだ。
翌日、その男の子は母親から陽菜の目の前に連れてこられて、陽菜の目の前で土下座させられた。
見ていた皆は、そんな余所者をバカにしたが、陽菜は自分が原因で男の子が土下座させられたのが悲しかった。
陽菜は心が直ぐに顔に出る。
帰った陽菜を呼んだご隠居様は、いつも明るい無邪気な陽菜が沈んでいるのに気がついた。
何があったのか話すように陽菜に言い、陽菜が悪口を言われた事を悲しんでるのではなく、自分が優しいご隠居様の所にいるのが原因であの男の子が土下座させられたのが悲しいのだと分かった。
翌日、陽菜が学校のクラブ活動で遅めに帰ると、女中さんが直ぐに応接間に来るように、と伝えてくれた。
陽菜が応接間に行くと、そこにはご隠居様と、陽菜をからかったり男の子がいた。
陽菜は、はっ!とした。
ご隠居様、もしかしたら私をからかったこの男の子を、怒ってるんじゃないかしら..。
ご隠居様はじっと男の子を睨み付けている。
チンピラどころか、組を張っているヤクザでもびびりそうな眼だった。
男の子は泣いてるのでは..、と思ったら、全身でブルブル震えながら、顔を真っ赤にしてご隠居様を睨んでいた。
「おう、陽菜。帰ったか。」
ご隠居様は男の子を睨み付けたままで言った。
「只今帰りました。」
陽菜が挨拶をすると、ご隠居様は
「この子か?お前がわしのところにいるのをからかって、母親に連れられてお前の前で土下座したのは?」
と言った。
陽菜が何も答えられずにいると、ご隠居様は今度は男の子に聞いた。
「お前は、覚えがあるか?」
ご隠居様のすごい迫力に、陽菜も泣き出しそうだった。
陽菜は自分の事なら信じられないような度胸を示したが、他の人のことになると、普通の小心の女の子なのだ。
都会から来たばかりの男の子は、口は達者そうだが、身体は細く頼り無さそうに見えた。
ガタガタ震えるのが、ますます激しくなる。
「どうなんだ!」
ご隠居様が怒鳴るようにもう一度聞いた。
「そうです!」
泣き出すかと思った男の子は、渾身の意志で怒鳴り返した。
「お前、わしの陽菜をバカにしたな!
どう思っているのだ!」
止めなくちゃ!ご隠居様を止めなくちゃ!
陽菜はおろおろとそう思ったが、どうすれば良いのか分からない。
すると男の子が言い返した。
「その女の子をからかったのは、僕が悪かったです。ごめんなさい。」
ご隠居様は、おや?と思った。
このガキは、見かけより根性があるではないか..。
しかし、男の子はさらに続けて言った。
「でも、こんな可愛い女の子に、エッチなことをしてるおじいさんが一番悪いんじゃないか!」
ご隠居様、怒る..。きっとすごく怒る..。
陽菜は横にいて心臓が止まりそうだった。
男の子はガタガタ震えながら、真剣にご隠居様の目を睨み付けている。
ご隠居様の厳しい目が尚も男の子を睨んでいたが、やがてその力が抜けた。
「筋は通ってるな..」
ご隠居様の声が、普通の声になった。
ご隠居様がまた男の子に聞いた。
「この子は、お前から見て可愛いかな?」
今度は男の子の方がうろたえた。
されまで頑張ってご隠居様のメーリング睨んでいたのに、視線が逸れて一度陽菜の方を見て、その後下を向くと、今度は小さな声で「可愛い..」と言った。
そのままご隠居様はしばらく腕を組んだまま何か考えていたが、やがて
「よし、分かった。
お前は間違ってない。」
と言うと、陽菜にその男の子を玄関まで案内して帰すように言った。
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