時計の針は8時30分を過ぎてしまった。
やだっ、お兄ちゃん、早く帰ってよ!
私、もう我慢出来ない!
さらに15分。
茉美の全身は小刻みに震えていた。
もう、漏らそう..。
お兄ちゃんが帰ったら、どうせ恥ずかしくて痛いことされちゃうんだ。
お漏らしした罰受けたって思ったら..。
そこまで考えてた茉美の耳に、車のタイヤが庭の砂利を踏む音が聞こえた。
あれはお兄ちゃん?
きっとそうだ。だって他の人が今頃来るはず無いもん!
良かった。間に合ったんだ..。
さあ、次は玄関を開ける音がするはず。
ところが、次に聞こえたのは、誰かの足音が砂利を踏んで、茉美の縛られている縁側の面する裏庭の方に回って来ている音だった。
えっ、何?お兄ちゃんじゃないの?
ま、まさか違う人?そ、そんな...!
その足音は縁側に近づき、やがてガラス戸の向こうに立った。
その人影は、ガラス戸を片手でトントンと叩き、それから顔を近づけた。
茉美の心臓は、爆発寸前まで激しく鼓動し、そして握りつぶされそうな気がした。
人影が何か言ってる。
えっ、何なの?あなたは誰?
ガラスが光って見えないよ!
またその人影が大きな声で言った。
「玄関の鍵を落としたから、裏口から入る。」
お兄ちゃんだった!
裏口..、だからこっちから..。
茉美はほっとし、一瞬気が緩んだ。
あっ!
その一瞬、力が抜けたのだ。
生暖かい液体が、茉美の内腿から足に伝って流れ、床に小さな水溜まりを作った。
お兄ちゃんが裏口を開けて茉美の縛られている場所に行った時、さっき外から見た時は泣いてなかった茉美が、口を塞いだパンツ越しに、ウーッウーッ、と唸るような声を出して泣いていた。
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