「素晴らしいね」
「二人とも、とっても綺麗だったよ」
二人は立ち膝の姿勢を保てなくなり、ぐったりとシーツの上に倒れ込む。山下は抱き合う姿勢で縛られたまま横たわる二人の片膝に縄を巻き付け、その縄を天井に取り付けられたらフックに通した。今の今まで誰も気付かずにいたが、天井には丈夫そうなフックがいくつも付けられていた。つまりこの部屋は最初からSM仕様に手を加えられていたのだ。
二人の愛液を染み込ませた瘤付きの縄を外して、フックに通した縄を引くと、同時に久美子の左膝と理絵の右膝が引き上げられる。
「あぁぁー、いゃぁぁー……」
理絵の声はかすれていた。足を広げられながらもしかし、二人は抵抗する力も気力もすでに失っていたのだ。赤くなった二人の割れ目が、男たちの目に晒される。
「こんなにしちゃって、二人ともスケベな女だね」
膝を吊り上げる縄を部屋の隅に縛り付けて固定した山下は隣の部屋に行き、戻って来た彼の手には大型のハンドマッサージャー。コンセントに繋ぎスイッチを入れるその目はサディスティックな色を湛えていた。
「や、山下さん、なにそれ……」
「これかい? ただのマッサージ機だよ」
ブブブブブ、と、鈍い振動音が二人の開かれたままの股間に近づく。やがて……。
「うああぁぁぁぁぁーっ!」
「ひいぃぃぃぃーっ!」
振動音はびちびちという飛沫を立てる音へと変わる。白いヘッドの部分は密着した二人の割れ目に押し当てられて押し広げ、ふたつのクリトリスを探り当てた。
「だめだめだめだめだめぇぇぇぇーっ!」
「いくいくいくいくいっちゃうぅぅぅぅーっ!」
自由を奪われ限られた中でも、水揚げされた魚のように跳ね回る二人の体。それでもハンドマッサージャーは容赦なしに押し付けられて、二人の粘膜までも震わす。そこから噴き出す透明の液体は理絵のものか久美子のものか、もはや定かではない。
「こわ、こわれ、こわれちゃうぅぅーっ!」
「また、またいっちゃ、いっちゃうよぉぉーっ!」
初めて体験する止まらない絶頂に、半狂乱に叫び続ける二人の少女。
「よし、この辺にして、縄を解くか」
縄はあまり長時間縛ったままだと血流に影響するので、程よいところで解かねばならない。山下が縄を解くと、二人はまだ朦朧としたまま。山下の手や互いの体が微かに触れただけで跳ねるように痙攣。
「さて、皆さん。この美しくも官能的な被写体で、素晴らしい写真は撮れましたか?」
「凄かったね」
「いや本当、勃っちゃって撮影どころじゃなかったよ、ハハハ」
「久美子ちゃん、理絵ちゃん、超キレイだったよ」
「まったくだね。ビデオカメラで動画撮りたかったなぁ」
「今回はあくまで写真のモデルって事で二人にお願いしたからね。ビデオとなるとまた別にお願いしなきゃいけないから。ま、とりあえず、今回の撮影会はこの辺でお開きって事で。お疲れ様でした」
縄を解いてもシーツの上で二人は力無く抱き合っていた。山下はしゃがみ込み、二人の耳許で囁く。
「久美子ちゃんと理絵ちゃんもお疲れ様。でも、二人とも……まだ体の疼きが全然収まらないでしょ」
二人は小犬のように潤んだ瞳で、山下を見つめた。
「山下さん、あたし……おかしくなっちゃった」
「いいんだよ久美子ちゃん。それでいいんだ。大人はみんな、エッチな体をしてるんだよ。だから、おかしくなんかないって」
「アタシ、こんなに気持ちよかったの、はじめて」
「そうでしょ理絵ちゃん。でもね、そんなふうに気持ち良がってこそ、本当の美しさを引き出せるんだよ」
山下は両手でそれぞれの頭を撫でてあげる。その優しい手つきに二人は肩をすくめ、目を細めた。
夏休みはまだ半分も過ぎていない。撮影会は結局いやらしい事をする会で終わってしまったようにも思える。しかし久美子はあの時の快感を忘れられなかった。そしてあの日以来、自分一人で気持ちよくなる事も覚えた。
夜、兄は二段ベッドの上で寝息を立てている。学校は休みだから夜更かししても大丈夫。
「んっ……」
久美子は理絵と一緒に縛られた事、何人もの男たちに注目され写真を撮られる中で何度も何度もイカされた事などを思い出していた。思い出すと下半身が疼き下着が汚れてしまう。だから彼女は、布団の中でパンツを脱いだ。
「はぁ……」
大事なところを触ってみれば濡れている。久美子はそんな自分をいやらしいと思う。
「また、されたいな……」
パジャマのボタンを外し、左手で自分の胸を触ってみても、他人に触られた時ほど気持ちよくない。右手でクリトリスの辺りを弄ってみても、縄で擦られた時ほど気持ちよくない。なんだか切ない。
「んんっ」
布団を被れば遠くに聞こえる虫の声の代わりに自分の荒い息遣い。体が火照って蒸し暑さに汗が滲む。
「あっ……んっ」
自分で乳首を摘まんでみたり、クリトリスをこすってみたり、久美子は色々と試してみる。
その時であった。
「おい」
上から降ってきた声で背筋に冷たいものが走る。久美子は布団からゆっくりと目だけを出した。すると、二段ベッドの上から覗き込む兄、琢郎の顔。
「何やってんだオメェ」
その顔は微かにニヤけているように見えたのは、久美子の気のせいだったかも知れない。
「な、なんもしてないよ、兄ちゃん」
「嘘つけ、なんかごそごそやってたじゃんかよ」
二段ベッドの梯子を降りて机の電気スタンドを点ける琢郎。緊張が走る。布団を強く握りしめて頭から被る。
「こ、こないで……」
そんな願いも虚しく、琢郎は妹の布団を掴んだ。抵抗するも力一杯剥ぎ取られ、一気に布団を捲られてしまう。
「きゃっ」
そこには膝を曲げて屈む、胎児のようなポーズの久美子。顔を真っ赤にしたままパジャマの前を裸け、パジャマの下とパンツはベッドの足元の隅で小さく丸まっていた。
「オメェ、オナニーしてたろ」
卑下する笑顔を浮かべた兄を、久美子は涙目で睨みつける。
「いいぜ、続けろよ」
ベッドの脇で膝立ちになり、半裸で震える妹を覗き込む。
「あっち行って!」
「静かにしろよ。今、母ちゃんが起きて入って来たらどうすんだオメェ」
思わず両手で口を押さえた久美子。そんな彼女の下半身に兄の手が伸びた。
「自分でここ、いじってたんだろ。ガキのクセにどんだけスケベなんだよオメェは」
身を乗り出して両膝を掴み、力一杯足を広げさせる。久美子は左手で口をふさぎながら右手で股間を隠し、激しく首を横に振った。
「この前、雅也たちの前でもやってたもんな。あん時覚えてハマっちまったんだろ?」
琢郎の右手が股間を隠す久美子の右手に重ねられ、上下に動かされる。途端、久美子の体は跳ねるように仰け反った。
「んんんっ!」
その妹の敏感な反応を見て、琢郎は新しい玩具でも見付けたかのように目を輝かせた。
「へへへ、いつも手伝ってもらってんからな」
左手の指先でその小さな乳首を弾けば、それだけでぷくりと膨らんだ。久美子は体を震わせながら、必死で声を我慢する。
「自分で足開けよ」
首を横に振る。
「言う事聞けよ。さもねぇと、オメェが小六のクセに夜中オナニーしてるスケベ女だって、言いふらしちまうぞ」
いくら拒否しても、この兄は聞かない。それは久美子が一番よく知っていた。膝の力が抜ける。
「そうそう、オメェは素直に俺の言う通りにすりゃぁいいんだよ」
琢郎は立ち上がると、机の上の電気スタンドを久美子の枕元へと持って来た。彼女は眩しさに目を細める。
「足開いたら、ちょっと両手で膝を抱えてみ。あそこがちゃんと大人になってんか、じっくり見てやんからよ」
「恥ずかしいよ」
「オメェさんざん俺のチンコ見てんじゃねぇか。だから俺にも見させろよ。そうだ、枕、腰の下に敷けよ」
どうやら飽きるまで続きそうだと感じ、理不尽な話だと思いつつも諦めて言う通りにする。恥ずかしいとは言え赤の他人に見られる訳ではない。相手は去年まで一緒にお風呂に入っていた兄なのだ。オナニーして感じているところを見られるよりはマシだと彼女は思った。
「ねぇ兄ちゃん、もういいでしょ?」
大事なところが上を向き、肛門までもが丸見えとなってしまった。琢郎は電気スタンドを手にして顔を近づけ、そのふたつの穴をじっくりと観察する。
「中、どうなってんだ? ちょっと自分で広げろよ」
「うぅー」
久美子は尻の外側から手を回し、割れ目を左右に広げた。膣がぱっくりと口を開け、湿ったピンク色の粘膜までもが電気スタンドに照らし出される。
「処女幕って、どれなんだ?」
「わかんないよー」
「ちょっと、指、入れて見てもいいか?」
「それは嫌……」
「いいじゃんか。ちょっとだけだから」
琢郎の指がその濡れた粘膜に触れる。するとビクリ、と、震え。
「あっ」
中指がゆっくりとねじ込まれてゆく。
「やっ、に、兄ちゃん、だめっ」
「なんかザラザラしてんな」
指は根本まで入ってしまった。関節を曲げてみれば、ぽこぽこと音がする。
「兄ちゃん、ちょっと……いたい」
「ああ、すまん。クリトリスって、これかな」
ぬるり、と、抜かれた指で、今度は割れ目から顔を覗かせる突起へ。
「んんっ、そこっ、だめっ」
触れられただけで腰が跳ね上がる。久美子は唇を噛み締めて声を我慢する。
「面白れぇ、ケツの穴がヒクヒクいってるぜ」
それは琢郎にとってある意味実験に近かった。裏動画とも違う、初めて生で見る局部。その細部に、好奇心が駆り立てられる。
「だめっ、そこ、そんなこすっちゃ……んんっ」
久美子は思わず左手で口を押さえた。
「そーかぁ、ここ、こうしてやればいいんだな」
「んんーっ、んーっ!」
右手で兄の手首を掴んでも力が入らない。琢郎は身を乗り出し、久美子の下半身に覆い被さるように押さえ付けながら、ひたすらクリトリスをこすり続ける。こんこんと湧き上がる泉のように、後から後から溢れてくる愛液。
「んーっ!」
感じているところを兄に見られ、いいように玩具にされている自分。それなのに、身体を支配する快感に抗う事が出来ない。枕に乗せた腰をガクガクと動かしながら、更なる快楽に溺れたいと願ってしまう、もう一人のいやらしい自分。
「だめっ、いっ……ちゃっ……んっ!」
琢郎の手を股に挟んだまま腰をくの字に曲げる。蠢き続ける兄の指。痙攣する久美子。膣から噴き出す愛液。
「イッたのか?」
潤んだ瞳で兄のニヤけた顔を睨み付ける久美子。
「ひどいよ、兄ちゃん……」
「ハハ、いつも俺ばっか出させてもらってんからよ、たまには気持ちいい思いさせてやったんだぞ」
「いいよ。こーいうの、じぶんでするから」
「遠慮すんなよ。他人の手の方が気持ちいいだろ?」
「そー言うもんだいじゃないよ」
兄のオナニーを手伝うだけでなく、逆に手伝ってもらう事までも受け入れてしまったら、大人になってもそんないやらしい兄妹関係が続いてしまうような気がして、久美子は怖くなった。
家に居ると兄の玩具にされてしまう。そう思って久美子はなるべく理絵の家に入り浸り、一緒に勉強したり買い物に行ったりしていた。しかし理絵の家で遊ぶとなると、たいてい理絵の兄か母親、どちらかが在宅しているため、エッチな遊びなどは全く出来なかった。二人は二人だけの空間を求めた。だれにも邪魔されずに、好きなだけ気持ちいい事が出来るような、秘密の世界が欲しかった。
「リエちゃん、こういうの、レズビアンって言わない?」
路線バスの最後部からひとつ手前の座席。乗客は二人の他、前から三列目に中年男性が一人。
「どうかなー、べつにアタシたち男がキライってわけでもないからねー。でも、やってることはレズかも」
お尻を前に出して浅く座れば、運転席のルームミラーからも死角となる。そんな誰にも見られない所でキスをする二人。
「でもリエちゃん、クラスの中でこんなことしてる人って、いないよね」
「わかんないよー。世の中ひろいから」
お互い短パンのボタンを外してファスナーを下ろし、下着の上から触りっこする。
「クラスでさ、もうエッチしたことあるのって、リエちゃん以外だれかいるかな」
「あぁ、ヨーコなんかは付き合ってる大学生と、しちゃったらしいよ」
「マジで? あのおとなしいヨーコが?」
「おとなしいって、クミちゃんのほうがよっぽどおとなしいじゃん。なのに、こんなに濡らしちゃってさー」
「あっ」
理絵は下着の中に手を差し入れ、汗ばんだ久美子の股間を直接触った。二人にとって、山下が経験させてくれた様々な事が、密かな優越感にもなっており、そしてその経験は二人の遊びをエスカレートさせていった。
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