「すこし膨らんできてるじゃん」
「そんなことないよー、リエちゃんにはゼッタイ勝てないもん」
「アタシのだってそんな、かわんないよ」
そう言って理絵は久美子の手を取り、ブラジャー越しに自分の胸を触らせた。
「二人ともまだ発育途中だからね。でも、男の人に揉まれたりする内にどんどん大きくなっていくから」
山下はベッドの際まで膝を進め、久美子の尻の間近でシャッターを切る。
「そうなの?」
「男の人と付き合ったりエッチしたりするとね、女性ホルモンの分泌が活発になってオッパイも大きくなるらしいよ」
「じゃぁ、あたしダメだぁー。カレシなんてできないし」
「彼氏じゃなくたっていいんだよ。なんだったら俺が久美子ちゃんのオッパイ、大きくしてあげようか?」
「そー言って山下さん、あたしの胸さわろうとしてんでしょー」
「ハハ、バレたか」
「じゃぁクミちゃん、アタシならいい?」
そう言うと指先で、久美子の胸にそっと触れる。
「リエちゃんなら女の子同士だし、へーきだよ」
そして指の腹で撫でるように持ち上げながら、理絵は久美子を見つめた。
「アタシのも、もっと触ってみて」
久美子は目を逸らしながら頷き、彼女の胸をその手で包み込む。
「リエちゃんの、やわらかい……」
久美子にとって他人の胸を触るのも触られるのも初めてであった。しかし顔が赤くなっているのは二人とも。
「理絵ちゃん、久美子ちゃん、そのまま二人でキスしちゃってもらえるかな?」
カメラを構えながら山下が言う。
「えー、ヤバいよなんかー」
笑いながら言ったのは理絵。しかし彼女の両手は久美子の胸を揉みしだいていた。
「ヤバくなんかないよ。ほら、アイドルグループのプロモとかでも、そんなんあったじゃん」
「しらなーい」
「あぁー、ちょっと古かったかな、ハハハ、でも、仲のいい女の子たちでキスの練習する事とか、普通にあるみたいよ」
「んー、クミちゃん、ファーストキスがアタシなんかでも、いい?」
「……うん」
恐る恐るお互い唇を近づける。しかし二人して目を瞑ってしまったため、鼻先同士がぶつかってしまった。
「キャハハッ! ごめーん、アタシが目を開けてするから、クミちゃんは目つぶってじっとしてて」
「うん」
目を閉じて顎を上げる久美子に、そっと唇を重ね合わせる理絵。その柔らかさにドキリとする。久美子は目をきつく閉じて我慢するような気持ちでいたが、彼女に両肩を抱かれて力が抜けた。
「二人ともまだ緊張してるね。じゃぁ大人のキスをしてごらん」
理絵は山下の言葉を理解した。両手を肩から背中へと回し、強く抱きしめれば一層力が抜ける久美子。彼女の舌が久美子の唇を割って滑り込むのに何の抵抗もなかった。
「んんんっ……」
口の中で二人の舌が絡み合うと、久美子は兄の指で口の中を弄られた時の感覚を思い出した。そしてしがみつくように理絵の背中を抱きしめる。
「ぷはっ」
窒素しそうになる手前で息継ぎ。潤んだ瞳で見つめ合えば、お互い恍惚の色を浮かべていた。
「リエちゃん……女の子同士のキスって、こんなにドキドキするものなの?」
「アタシも、こんなの初めてだよ。でも、きっと相手がクミちゃんだからだと思う」
二人は膝に力が入らず、そのままベッドへと倒れ込む。
「もっと……しよ」
「ん……」
ベッドの上で横たわり強く抱き合い、そして再び唇を重ね合わせた。互いの舌がそれぞれの舌から歯茎、頬の裏側までを貪る。久美子は全身に鳥肌が立つような、ぞわぞわとした感覚に襲われた。息が荒くなる分、より呼吸が苦しくなり、水の中を漂うかのように時折息継ぎせねばいられない。悦楽に溺れてゆく二人を包むのは、無情なまでに冷たいシャッター音。体を震わせながらお互い、股の間に脚を割り込ませては押し付ける。
「クミちゃん……すご……エッチとかオナニーなんかより、いいっ」
肌と肌のこすれ合う感触を全身で感じ、重なり合った胸を通して互いの鼓動と温もりが伝わる。もつれ合う細い腕と脚。体の奥から溢れ出すもので、二人の下着は汚れてゆく。
「二人とも、凄く綺麗だし色っぽいね。俺、興奮しちゃって勃っちゃったよ。キミたち見ながらオナニーとかしちゃってもいい?」
クスクスと悪戯っぽく笑いながら見上げれば、ベッドの前でカメラを構え、二人を見下ろす山下。そのファインダーの向こうには、下着姿で絡み合う自分たちを見つめる血走った目があり、熱い視線を注ぎ込んでいるんだろう。そう久美子は思った。
「山下さん……おちんちん、手でこすってあげようか」
「久美子ちゃん本当? マジでいいの?」
「山下さん、リエちゃん、ここだけの話、ぜったいナイショだよ。じつはあたしね、兄ちゃんのオナニー、手伝わされてるんだ」
「なっ、クミちゃんそれマジ?」
「凄い話だねそれ」
「うん、二ヶ月ぐらい前からかな」
「イヤじゃないの?」
「手も疲れるしイヤだけど、でも兄ちゃんすごく気持ち良さそうにするんだよ。だからあたし、手で出してあげるの」
そう言うと久美子は四つん這いの姿勢で彼のベルトを外しジーンズを脱がして行った。張り詰めたパンツを勢いよくずり下ろせば、跳ね上がるように飛び出す。皮は完全に剥けきり亀頭も露わとなった大人のペニスだった。中ニの兄のそれとは大きさも形も違っており、久美子は一瞬目を見張る。
「お、おっきい……」
恐る恐る手にすれば熱い。血管が浮き出ており、鼓動に合わせて脈打つその姿は猛々しい。山下はされるがまま、その間もシャッターを切り続ける。
「ほんとだー、おっきいね」
気付けば隣から理絵が覗き込んでいた。久美子はそれを軽く握り、ぎこちなく前後に動かす。興味深く眺めていた理絵は手を伸ばし、人差し指で先端の辺りを軽く弾いてみた。
「おうっっ! ちょっと理絵ちゃん、もっと優しく扱ってくれよー」
「アハハ、面白ーい」
赤紫色に鬱血した亀頭の先から滲む粘液。竿の部分をこする内、それは更に硬く大きくなっていった。こんなの咥えたり出来るのだろうか、どんなに苦しくなるのかと不意に好奇心が湧き起こり、そして山下の荒い息遣いを聞く内に、いつしか自分の息も荒くなっていると気付く。
「あの……山下さん。これ、しゃぶってみてもいいですか?」
「久美子ちゃん、フェラチオ出来るの?」
「ちょ、クミちゃん、やめなよ」
理絵は顔を近づけようとする久美子の肩を掴み、引き止める。それは久美子にとって意外な反応だった。
「リエちゃん、大丈夫だよ、あたしなら……」
「やめて! おちんちんなんて咥えちゃダメ。クミちゃんの唇はアタシのなんだから」
「リ、リエちゃん……」
そう言うと理絵は、まるで奪うように久美子の唇を自分のそれで塞いだ。
「んんっ」
舌を無理やり差し入れ、ベッドに着いた久美子の手に自分の手を重ねては握り締める。
「ハハハ、参ったなぁ、理絵ちゃんに取られちゃったんじゃ仕方ないねー」
苦笑いしながら山下は、ベッドの下に座り込んだ。そして自分の手で弄りだす。ベッドの上では理絵が久美子を押し倒していた。
「クミちゃんは男なんかとしちゃダメ。その代わりアタシが気持ちよくさせたげるから」
「リエちゃん……」
「アタシね、エッチしたことあるって自慢げに言ったけど、ほんとは痛いだけでぜんぜん気持ちよくなかったんだ。やめてって言ってもやめてくれなくて、優しくもしてくれなかったし、超イヤだった……」
理絵はただ見栄を張りたいだけであった。大人に見られたいし、背伸びもしてみたい。
「理絵ちゃんは男運が悪かったんだね。確かに身勝手でセックスしたいってだけの男はたくさんいるよ。初体験だけは、本当に自分の事を想ってくれる人と出来ればいいんだけどね」
「そんなのいないよ。結局みんな体目当てなんだ」
「ハハハ、まぁ否定は出来ないけどね。でも大人の女はね、そんな男を利用してセックスを楽しむもんだよ。もちろん恋したり傷ついたり、色んなエッチを経験したりしなきゃならないけどね」
「……アタシ、ずっと子供でいいかも」
悲しげな表情を浮かべた理絵を久美子は強く抱きしめた。
「リエちゃんには、あたしがついてるよ。あたし、リエちゃんのこと好きだもん」
「クミちゃん……」
そして二人は再び濃厚なキスをした。
母親は夏休みの間も、昼過ぎに仕事へ出ては夜遅くまで帰って来ない。団地の狭い自宅に子供部屋はひとつしかなく、居間のゲーム機をどちらかが占領すれば、もう一人は二段ベッドでスマホを弄るか友達の家に遊びに行くか。そんな毎日がずっと繰り返されていた。
しかしその日は、琢郎が久し振りに友達を家へと招き入れていた。普段は狭いからと言って別の友人宅に集まるのだが、仲間たちの家には母親が居る事が多い。それが理由だった。
「なんだ琢郎、これ何の制限も設定されてねーじゃん」
居間のゲーム機を囲んでいるのは琢郎と二人の男友達。
「じゃぁ普通に観れんだな? 潤三」
「楽勝。まぁ見ててよ、マジやべぇから。雅也はもう俺んちで見てんだけどな」
肥満気味でガタイの大きい男、潤三が言った。その太い指でコントローラーを器用に操り半角英数字を打ち込んでゆく。
「琢郎んちみてーなボロい団地にネット繋がってんのが奇跡だよなー」
もう一人の男友達、理絵の兄でもある雅也がそう言って笑った。
その頃久美子は人見知りもあり、部屋にずっと引きこもったまま夏休みの宿題をこなしていた。居間から聞こえる兄たちの声に気が散って宿題に集中出来ず、溜め息を漏らす。やがて、男たちの歓声が聞こえたかと思ったら、ボリュームも下げずにいやらしい音声が。
「すげぇ、無修正じゃんかよコレ」
「オレはもう見して貰ったけど、モロ丸見えなんだよな。特に外人のなんかすげーよ」
賑やかな会話。兄たちをスケベでバカな男たちと軽蔑しつつもその実、興味が無いと言ったら嘘になる。
「うわぁ、あんなデケぇのが入っちまうんだ」
「やべー、オレ勃って来ちまったよー」
「またかよ。雅也のヤツ俺んちのパソでエロ動画見た時、いきなりオナり始めたんだよな。頭おかしいぜコイツ」
笑い声が溢れる。テレビからは悲鳴にも似た女の良がり声。
「でも、マジ感謝だよ潤三」
「なんか奢れよな」
「そうだな、とりあえずジュースかなんか要るか?」
「うん、ちょっと喉渇いたな。なんかあんのか?」
「妹に自販機まで買って来させんよ」
一瞬、場が凍りついた。
「琢郎お前、まさか今、妹居んのか?」
コントローラーを持ったまま唖然とした顔で言ったのは潤三だった。
「あぁ、今その部屋で宿題やってんよ」
「バカかお前、話がちげぇじゃんかよ。誰も居ないって言うから……」
「気にするこたぁねぇよ、まだガキだし。オイ久美子! オメェちっとジュース買って来いよ!」
ゆっくりと襖を開き、中から恐る恐る顔を出す久美子。琢郎は財布から小銭を出して妹に渡す。
「お前ら何がいい?」
「あ、別に、なんでもいいけど」
「じゃぁ久美子、適当なもん三本、ダッシュで買って来い」
久美子は無言で小銭を受け取り、Tシャツと短パン姿のまま出て行った。玄関の閉まる音を合図に騒ぎ出す潤三。
「た、琢郎の妹って確か、まだ小学生だったよな」
「オレんとこの理絵と同じクラスだもんなー。この前ウチに遊びに来てたぜ」
「小六つったらお前、エロ動画とか凄く嫌がんじゃねぇの?」
「んな事ねーよなぁ、ウチの理絵なんかスゲー食いつくぜ」
「ていうか潤三、別に嫌がろうが関係ねぇだろ、そんなもん。つーかさ、ここだけの話、俺、アイツにオナニー手伝わせてんだけど」
「ブハハハハッ、マジかよー!」
笑い出したのは雅也だった。
「おめー、妹にそんな事させてんのかよ! 変態兄貴だなー」
「オメェに言われたかねぇや。っていうか秘密な」
ちょうどその時、缶ジュースを抱えた久美子が戻って来た。
「おう、サンキューな」
「ねーねー久美子ちゃんさー、キミ、琢郎のオナニー手伝ってるのって本当?」
「え?」
久美子は思わず持っていた缶ジュースを落としそうになった。そして血の気の引いた顔で兄を見つめる。
「本当だよな久美子。この前なんかフェラの練習までしたもんな」
「ハハハッ、やべーっ! やべーよこの兄妹」
潤三は引いているのか顔をしかめていたが、雅也は楽しげである。
「コイツまだガキだけどよ、他人の手にシゴかせんのって、マジ気持ちいいんだぜ」
「そりゃそうだろうけどよぉ、おめーも鬼畜だなぁ」
「いいんだよ、コイツ俺の言う事だったら何でも聞くんだから」
誇らしげであった。母が仕事に出ている間は自分がこの家の王様だと言わんばかりに。
「もしかしてさぁ、兄妹でヤッちゃってたりぃ?」
「バーカ、こんなガキとヤレっかよ。つぅか、大人ンなってもしねぇっての。手でシコらせてんだけだよ」
「じゃぁ琢郎、オレにも久美子ちゃん手、貸してくれよー。オレ今勃っちまってて、どうしょもねーんだよな」
言いつつ、早くもベルトを外そうとする雅也。
「いいぜ。オイ久美子、雅也のチンチンこすってやれよ」
「い、嫌だよ兄ちゃん」
「ああ? 俺に逆らおぅってのかよ」
久美子は失望した。幼い頃からお風呂に入れて貰ったり服を着せて貰ったりしてきた兄だからこそ平気だった。それ以前に、あの事は兄妹二人だけの秘密だとばかり思っていたが、よくよく考えてみれは自分も理絵と山下に話している訳だから、何も言えない。
「雅也お前、恥ずかしくねぇのか?」
既にジーンズを脱ぎ捨てた雅也を見て、呆れた様子の潤三が言った。
「何が? 別にオレらしか居ねーんだからいいじゃんかよー。それよか、潤三も一緒にシコってもらおうぜぇ」
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