5年生になり、次第に胸が膨らみ始め、お尻は大きく、ウエストはくびれ、女らしい身体つきになってきたメイちゃん。
特に暑い季節、薄着になると身体の線が目立って来て…僕はどんなに自制しても、気がつくとメイの身体に熱い視線を送ってしまうようになった。
そうなると当然、メイの方でも僕の視線に気づく。始めは視線に気づくと「ニコッ」と微笑み返してくれた。それが次第に、「ニヤッ」とか「ニタッ」とか…ちょっと小悪魔的な笑みを返すようになった。
普通思春期の少女が、男が自分の身体を性的な目で見ていることに気づけば、恥ずかしがって目をそらすか、戸惑ってぎこちない笑みになるか、嫌悪の表情を浮かべるか。だがメイの微笑みはそのどれでもない。敢えてセリフを付けるとすれば
『まったくもう、エッチなんだから(笑)』とか『そんなにあたしの身体みたいなら、見せてあげよっか?(笑)』とかそんな感じだろうか。
繰り返しになるが、僕がメイと仲良くなりたかったのは、性欲のためなんかじゃなかった。それでも、こんなリアクションをされたら、否が応にも期待してしまう。だがだからといって、ふたりで出かける時も相変わらず手をつなぐだけ。肩を抱き寄せたり、手のひら以外の部分に触れたりする度胸はなかった。そんなことをして拒否されたら。小悪魔的な笑みの意味も、すべて僕の勝手な妄想だったとしたら。苦労して培ってきたふたりの関係が一瞬で崩壊してしまう。
そんなやり場のないモヤモヤに悩んでいたある日、僕の父が還暦を迎えるというので、お祝いにみんなで温泉に連れてゆくという話が持ち上がった。
行き先選びと宿の予約を任された僕は、北関東にある、湯量が豊富で『源泉掛け流し』で有名な温泉地を選んだ。
両親と僕と、兄夫婦と、メイの6人。
この1泊2日の温泉旅行が、僕とメイの運命を大きく動かしたのだった。
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