昨年末の山本邸での一件以来(前述14参照)、それがきっかけではないにせよ毎夜スケベなハメハメを楽しんでいた大川夫妻。 しかし夫妻は、自分たち以上にスケベなセックス・プレイの味を知る夫婦がいることを思い知らされることになる。 それは、セックスの後そのまま昇天しても悔いなど残らないほど淫ら極まりない猛烈なプレイだった。
◆旅先にて
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「今の親子連れ、見た?」
「おお、見たよ」
「あれって家族?」
「だろ?」
「ふぅ~ん、そっかぁ、だよね~」
日本有数の古都に四泊五日で滞在型の旅行に出た大川夫妻。
国内でも最高級とされるホテルのスウィートをとった夫妻は、チェック・インの時にロビーにいた家族連れを何気なく見ていた。
その家族はもう一つあるスウィートをリザーブしていたようで、ほぼ同時に間をあけてスウィート専用階へ向かった。
その階はリビングやダイニングまで付いた豪華なスウィートが二部屋だけある、上客専用階だった。
家族連れはこのスウィートを時折利用していたのだ。
蜜満子はしかし、その家族のどこか不自然さに気付いたのだった。
部屋に入ると満子は言った。
「あなたぁ?」
「おおお、スッゲー部屋だなぁーっ」
「ねえあなたぁ、あの人達、家族じゃないんじゃない?」
「都内のスイートより凄くね?」
「ねえっ、聞いてったらぁ」
「いやぁ、俺もロビーで見てたけど、なんか着てる服とかさぁ、ちょっとよそよそしい感じだったな」
「うん、あたしもそう思ったの。 それに家族旅行っていう雰囲気じゃない感じだったわよね」
「それに、二人共でかい体の夫婦だったよなぁ。 ま、別にいんじゃね? おおお、食器ぜんぶマイセンじゃんっ」
「もうっ」
「やっぱスイートちがうわ」
相変わらず息の合わない夫婦(めおと)漫才である。
1月の真冬に、まるで入学式でも行くのかといういでたちの家族連れであった。
あるいは、親類のお祝いでもあるのだろうか。
なによりもロビーでの振る舞いが妙に場所慣れした家族然としていて、蜜満子はその家族からヘンな後ろめたさと仰々しさを同時に感じとっていた。
「同じ階のスイートみたいよ。 この階ってあたしたちと、もう一部屋だけでしょ?」
「てことわぁ、5人だな。 贅沢なもんだよな」
「防音とか効いてるのかなぁ?お隣りとの壁とか」
「なんで?」
「だってぇ、夜ぅ」
隣りの家族を気にしてみたり自分たちのことを気にしてみたりと、全く年増女はこれだから、と思いながらも、
萌絵雄は蜜満子のセーターの下から手を入れて、コーデュロイのシャツ越しに乳房を揉み包んだ。
「っっん~ん、あとで」
父と母、そして娘の三人家族であろうか。
あくの強そうな表情が俳優の中尾あ〇らを思わせる父親は50歳くらいで、行楽向きの高級スーツにコートを着ていた。
恰幅(かっぷく)が良くて気前がいい社長さん、といった風情であった。
上沼恵〇子に似た婦人は40代後半か、派手な演歌歌手のような2ピースをまとっていた。
太めと言えばそれまでだが、長身のせいで女性としてはかなり大柄な外人体型に見え、芸能人ばりの美しく濃い化粧をしていた。
つまり、行楽地によくいる豪華絢爛たる派手派手オバサンである。
二人とも、いわゆる裕福なお金持ち然とした雰囲気ではあったが、そのゴージャスさが逆に下品なムードを醸し出しているとも言えた。
身長145㎝ほどの娘は小学5・6年生ほどの赴きで、ダウン・コートの下には品の良いブレザーにスカートとハイソックス、大きなフリルの付いたブラウスに真っ赤なサテン織りのリボン・タイを結んだ姿は、どこぞのお嬢様学校の制服を思わせた。
娘のスカートからのぞく華奢な脚は、ロリータ好きの大川夫妻の視線を奪うには十分な初々しさがあった。
この三人家族が、大川夫妻お得意の妄想癖を十分に刺激するとは、夫妻はもちろんのこと誰も知りうる筈がないのであった。
「広~いお部屋、また来たねーっ。 ここ、だ~い好きっ」
久しぶりに訪れたスウィートの広さに有頂天になる娘。
大きなダイニング・テーブルに両手を伸ばしたり、特別あつらえのキングサイズ・ベッドに飛び乗ったりと、まだまだ子供である。
そう、まだ子供、である。
「いつもながら素晴らしい景色ね」
「おう、そうだなぁ、ホントにいい所だなぁ」
婦人は、夫と一緒に窓辺で景観を味わいながら、娘を呼んだ。
「真子ぉ? いらっしゃい?」
「はぁーいママ」
ロビーにいた時の妙な緊張感もなく、娘は婦人のもとへ駆け寄る。
婦人は、その大きな体にスーっと娘を抱き寄せ、娘は婦人に抱きつき、同時に二人は視線を向き合わせた。
そして一瞬のあと、その婦人と娘は目を疑う行動をとる。
二人は軽く唇を尖らせて、いわゆるチュウ顔をして互いの唇を重ねたのだ。
チュッ・・・・チュッ・・・・チュッ・・・・チュッ・・・・チュッ。
目をつぶって、何回も何回も、チュッチュの感触を味わう娘と、それを煽る婦人。
「気持ちいい?」
「うんママ、もっとぉ」
何度も唇を重ねる二人の様子を横目で見ながら、ニヤリとあくどい薄笑いをみせる夫。
夫は、川の字になるように娘の後ろから二人を抱き寄せた。
夫婦が長身のせいで、娘が実際よりさらに小さくみえる。
婦人は夫の腰へ手をまわし、3人の体がひとつになる。
そして今度は、娘の頭上で夫と婦人が唇を重ねた。
娘の時とは違い、はるかに濃密で、いわゆるエログロさに満ちた重ね方であった。
「ぅん~~ん」
喉の奥からわずかに声をだして夫とキスする婦人は、唇を離すと再び甘いささやきで娘を煽った。
「真子ぉ? チュウ好き?」
「うん大好きぃ」
「パパともやってみる?」
「うんやってみる」
娘は、今度は夫と向き合い、目をつぶって乞うように上を向く。
可憐で可愛いピンク色の唇に、睨みつけるような顔でせまる夫。
そして夫は自分の唇肉を、おもむろに、じっくりと、ムニューっと、娘の唇に密着させる。
その密着のさせ方を見ながら、口を開けて物欲しそうに吐息を吐く婦人。
この三人家族、いや、50前後の脂ぎった男と40後半の派手な熟女、そして小学5年女子ほどの子供。
個別にそう呼ぶしかないであろう、あるまじき行為をやっていた三人。
熟年の男女は夫婦なのか、カップルなのか、あるいは不倫なのか。
そして少女は、子なのか血縁者なのか、他人なのか、まさかこんな子供で援助関係とも思えない。
三人の関係は全くもって謎であった。
それにしても、窓辺に映る三人の行為は、この後このスウィートでいかに過ごすのかを十分に予感させた。
(つづく)
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