いつも一緒にいる麻衣香がいないから深雪は緊張しているようだ。それでも昨日車からふたりで降りて30分くらい恋人のように寄り添った時間が深雪を安心させたのか。声をかけると緊張気味だが、柔らかな笑顔を返した。
深雪の家は母子家庭で豊かではない。家に車はないらしく、車の助手席はちょっとした憧れだそうだ。だから、今、俺の横に座ってるのが嬉しいらしい。セブンイレブンが目に入り、立ち寄ることにする。長時間ホテルで過ごすから、飲み物やお昼ご飯、お菓子の用意だ。深雪は遠慮がちにサンドイッチとジュースをひとつずつかごに入れた。「好きなのいいんだよ。」俺はお弁当を手に取りかごに入れた。コーラ、スナックのもかごに入れ、「深雪もお弁当、お菓子も」
『いいの?』って顔でパスタを入れ、お菓子コーナーでグミを持ってまた『いいの?』って顔をする。「いいよ。」
「2870円です」「わぁ」深雪が驚いた声をあげた。コンビニで500円を越える買い物が驚きらしい。「ありがとう。」洋服を買ったときもそうだが、お礼を言ってきた。
「さぁ、行こう!」
30分くらい走り、国道から外れると一見リゾートホテル風の建物が見えてきた。「あそこだよ。」「わぁ」「どう?」「すごい。」
駐車場の入口から別になっている。車を置き、鍵をてにするとすぐ客室入口。
うしろから深雪がおずおず付いてきたが、灯りのスイッチを『パチッ』とつけると「わぁ」とまた歓声。「テレビ大きい。」ソファに座り「わぁ、ゆったり」奥にあるベッド。「大きなベッド。」「ダブルベッドって言うんだよ。乗ってごらん」深雪がベッドに飛び込む。「わぁ、弾む。」奥のドアは?」浴室。「大っきいおふろ。」
小学生らしく、ホテルに興奮している。俺は買ってきた食べ物の片付けをし、ベッドの頭の上に“Love Slide”と白いバスタオル、生理用ナプキンの入った巾着袋を置いた。
深雪の処女喪失グッズ。
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