次の土曜日、昼過ぎに真由が僕のアパートに来た。
少し緊張した面持ちで
「先生、今日はよろしくお願いします」
とお辞儀をする真由。
「ああ、がんばろうな。でも、よくお母さんが許してくれたな。」
「うちのお母さん、超天然だから。先生が生徒にエッチなことするとか、よその世界の話だと思ってるし」
僕は目を丸くして
「今でもそんな人、いるんだな…」と呟いた。
僕の部屋の座卓に教科書と参考書を広げ、英語と数学を見てやった。どちらも基礎はちゃんと理解していたので、教えるのは難しくなかったし、教え甲斐もあった。
結構ミッチリと、2時間ほど問題を解かせ、初日にしてはかなり進んだので
「よし、今日はここまでにしよう。よくがんばったな!」
と言うと、真由は
「はい!とっても分かりやすかった。ありがとうございました!」
と言って立ち上がったが、そのままごく自然に身体の向きを変え、座卓の後にあった僕のベッドに腰掛けた。
「真由、どうした?」
僕が聞いても、真由は俯いたまま、返事もしない。
『どういうことだ?』
職員室の常連の真由が、僕に恋愛感情を持っていることは明らかだ。それが、『キモデブの家庭教師から逃れるため』という理由を付けながらも、僕の部屋まで来てくれた。そして今、ベッドに座り、僕が隣に座るのを待っているのだろう。どういうことも何もない。
だが、僕は戸惑っていた。
普通の職業のロリ男なら、自分に気があるJCが、自分の部屋でベッドに座ったら、迷わず襲いかかるだろう。だが僕は教師。教え子に告白されても、仮に『抱いて』と言われても、大人ぶった台詞でたしなめなければならない。
『もっと自分を大切に…』『お前が大人になっても、まだ俺のことが好きだったら、その時は…』そんなありきたりな言葉が頭に浮かんだ。
でも結局僕には、そんな大人の対応はできなかった。真由という少女が好きだったし、彼女と特別な関係になれるチャンスを、自分から消すなんてことはとてもできない。
かと言って、後先考えずに押し倒すほど浅はかにもなれず… 中途半端な態度。
ベッドの上、真由と身体ひとつ離した所に腰を降ろした。
真由はすぐに、お尻をずらして僕のすぐ横に移動し、もたれ掛かってきた。
初めて触れる真由の身体の柔らかさと少女の匂いに幻惑され、僕は思わず肩に手を回す。
すると真由は僕に顔を向けて目をつむり、軽く顎を上げて『ちゅーして!』のポーズを取った。
僕はたまらず唇を重ねた。
キスを続けながら、僕は必死に考えた。
『このあと、どうする?どうなるんだ?』
経験した事がないほどの不安に襲われたが、それでもどうしても、僕はこの柔らかな唇から離れることができなかった。
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