晩秋の夕暮れ時、日中は汗ばむ程の気温が急速に下がっていくにも関わらず、二人の少女は寒さを感じていない。
大量の汗を吸った肌着とブラウスに体温を奪われている筈である。
何よりもグズグズに濡れた下半身を覆う衣類は、異臭を放つ程に体液を吸って汚れていた。
繰り返し、絶頂を迎えたことによる興奮の為か、或いは、肉の悦びを謳歌する術を覚え、その罪悪感から解放された為か。
いずれにせよ、二人の少女は寒さを微塵も感じてはいなかった。
それにしても・・。
端的に、かつ控えめに表現しても、二人の少女は汚かった。
大量の汗、土ボコリを吸い、くしゃくしゃに皺の寄ったブラウス。
薄汚ないとしか表現が出来ない二人。
「ミドリ・・・。」
「ん?」
「汚ったなーい。」
「な、アオイなんて汚ない上に、しかもノーブラじゃん!」
「あ。な、わ、忘れてた。返してよ!」
戯れ合う二人の少女。
ふと気付くと男の姿は見当たらない。
連絡先の交換もしておらず、名前すら知らない男。
二度と逢うことは無いかもしれず、意外な場所で再開するかもしれなかった。
「・・何だったんだろう、あのヒト。」
「・・タヌキ・・とか。」
そう言いながら懐を探るミドリは、一枚の一万円札を取り出す。
「・・葉っぱじゃない。本物だ。」
今時の中学生らしからぬ友人の呟きに首を傾げるアオイ。
「取り敢えず、お風呂入りたーい。シャワー浴びたーい。」
「待って待って。キャミ着てから。」
そう言いながら、差し出された下着を引ったくるようにすると、公園内に設けられたトイレに姿を消したアオイ。
友人の着替えを待つ間、手にしたスマホでコインランドリーを併設した銭湯を検索するミドリ。
あった。
この後、銭湯に到着した二人。
少女達が洗濯中の着替えを考慮せず、スカートと上着以外の全てを洗ってしまうという愚挙については、また別の話である。
※元投稿はこちら >>