ようやく呼吸は整ったが、未だ絶頂の余韻が冷めやらぬアオイ。
それでも冷静さを取り戻しつつある少女は、今更ながら自身の為した行為の趣旨、そしてそれが他人の眼にどのように映るかを完全に理解していた。
穴があったら入りたい、それ程までの羞恥心に身も心も悶えていたが、同時にその羞恥心こそが新たなる甘露であった。
「少しは落ち着いたかな・・。」
俯いたまま、男からの問い掛けに応えることが出来ないアオイ。
先刻、、行為の最中や果てた直後に較べれば、成る程、落ち着いていると言えよう。
だが、今日、男と行動をともにしてからは、一瞬たりとも平穏な心理状態に至ったことはない。
今、この瞬間を以ってしても胸の鼓動にしろ、呼吸にしろ平静時とは掛け離れていた。
アオイもまた友人と同様、複雑な想いに駆られている。
羞恥と後悔の念。
何度か友人から説明を受けても、決して腑に落ちることのなかった自慰に関する羞恥心。
今、初めて心の底から得心がいっていた。
身の裡に秘めた淫らな想いと御し難い肉欲への渇望。
それらを満足させる為の能動的な行為としての自慰行為。
それを理解出来ず、ミドリを困らせ、無理な要求を通してしまった羞恥と悔恨。
期待の念。
あれ程まで焦がれた単独での、、と言うべきかは別にして、、肉の昂ぶりと悦びに遂に辿り着くことが出来た。
しかも、目眩くような絶頂も味わうことが出来たのだ。
やや、異常なシチュエーションとは言え、それを可能にしてくれた男との出会い。
教示された手法をアレンジしていけば、身悶えしながら眠れぬ夜を過ごさずに済むかもしれない。
或いは、男は新たな『何か』を与えてくれるのだろうか。
「彼女の下着を渡してあげてくれないか?」
唐突に男はミドリに向かい呟いた。
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