ミドリは生唾を飲み込む。
その唾を嚥下する音が妙に響いたように感じ、或いは誰かに聞かれてはいないことを確認する為、周囲を見回していた。
電車の中、僅かな距離を置き、並んで立つ少女が、猥らな衝動に突き動かされている。
あまつさえ、その少女は公共の場で、限りなく自慰に近い行為に耽っているのだ。
少女、、アオイは下着をつけていない。
指示されたとは言え、自らの手で下着を脱ぎ去りミドリに預けたのだ。
少女のスカートの下では、剥き出しの下腹部と股間が外気に晒されている筈だ。
ブラウスの下では、双つの硬い果実が常以上に張り詰め、それらの先端では肉の芽が、限界を超えて尖がっているに違いない。
暫く前からミドリは奇妙な匂いに気付いていた。
嗅いだことのある、だが、今この場で嗅ぐことは有り得ない匂い。
だが、ミドリには確信があった。
鼻腔をくすぐる匂いが何なのか。
何度も何度も嗅いだ淫らな匂いだ。
その匂いがする淫汁を舐めたことが幾度となくあった。
その匂いがする汁が溢れ出す部分を触り、舐め、舌を捻じ込んだことも、だ。
今、アオイのスカートの中は、その時と同じかそれ以上に乱れているに違いない。
その予想は的確である。
だが、ミドリは気付いていなかった。
ミドリ自身の下腹部から股間にかけても、同様であることを。
勿論、ミドリは下着、そしてハーフパンツを穿いている。
ぐしょぐしょである。
濡れそぼっていた。
手にして絞れば、アオイのそれと似て非なる匂いのする汁が滴るかもしれない。
あ。
それは突然であった。
突如として限界を迎えたミドリ。
吊り革を掴んだ右手はそのままに、反射的に左手で唇を覆っていた。
せめて声を漏らすまい。
或いは『少女の嗜み』と言っても良いのかもしれない。
その光景は、知らぬ人間が眼にすれば、少女が不意に咽び泣きを始めたかのように見えたであろう。
極く浅く、短い、、されど不規則かつ断続的にミドリを襲う絶頂。
肩を震わせながら快感に咽び続ける少女は、それでも最後の矜持とばかり、声を漏らすことだけはなかった。
天晴れ、そう表現しても間違いではないであろう。
※元投稿はこちら >>