滑り込むように、そんな表現が当て嵌まるように到着した下り電車に乗り込んだ三人。
閑散とした列車内には、三人の他に乗客は僅か数名が点在するに過ぎない。
列車の進行方向に沿った通路を挟んで両窓際に設えられたシート。
車両の中央辺りに座した男と、数メートル離れた位置で所在無げに立つ二人の少女。
不意に男がアオイに向かって手招きをした。
怪訝そうに近付き、男の正面に立ったアオイとその隣に並んで立つミドリ。
「上着を脱いで、その子に渡しなさい。」
男の指示に頬を強張らせるアオイ。
だが、それでも少女は暫し躊躇った後、左右の腕を上着から抜き始める。
左、右の順に袖から腕を抜くと、流石に脱いだ上着を抱き抱えるような仕草をしながら、男の表情を伺った。
「どうしたんだい?」
懇願するような眼で男の眼を見ながら、小さく左右に頸を振る少女。
「渡しなさい・・。」
再度の指示を受けたアオイは、観念したかのような表情を浮かべ、手にした上着をミドリに渡す。
俯向き、背を屈めた少女は、身を縮めるようにして右手で吊り革を握り、左腕で胸の辺りを覆う。
高揚して昂ぶったアオイの頬は朱に染まる。
その表情は既に少女のそれではない。
それは女の表情である。
ミドリは見惚れていた。
蛹から脱皮した直後の蝶のような少女に。
勿論、顔形が変わったわけではない。
突如として変化が生じたわけでもない。
一年以上に渡り、ミドリとの爛れた関係により培われた淫らな土壌に撒かれた種子が今、この瞬間に芽吹いているのだ。
にチゃ・・ヌちョ・・
アオイの下腹部、スカートの裡側から漏れる粘りのある湿った音。
尿意を耐える幼児のように、左右の太腿を擦り合わせる為に生じる淫らな音である。
溢れた蜜が少女の太腿の内側を滴っていた。
胸を覆っている左腕が、双つの膨らみを押し潰し、小刻みに蠢めいている。
擦り潰す程の圧力が乳首に加えられていた。
繰り返すことになるが、自慰では昂ぶることが出来ないアオイ。
いや、出来なかったのだ。
だが、今のアオイは違う。
生まれて初めて能動的に躯を刺激することにより、少女は未知の感覚に酔い痴れていた。
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