駅に向かっている。
不意にミドリの頭に浮かんだ想い。
だか、駅に向かってどうするというのであろうか。
当然のことながら、駅に近付くにつれ人の数は増していく。
つまり、男が少女達に対して不埒な行為に及ぶことが困難になっていく。
同時に二人の少女が、男により危険に晒される可能性は、下がりこそすれ上がることはない。
確かにミドリにとってはそうかもしれない。
だが、アオイにとってはどうか。
恥ずかしい格好。
はしたない格好。
下腹部をスカートの生地一枚で隠した状態。
誰もが、、ミドリと男を除いて、、その事実を知る由も無い。
だが、少女は慄いていた。
もし一陣の風により、スカートが大きく捲れ上がったら。
もし階段、或いはエスカレーターを登る際、スカートの中を覗かれたら。
少女は慄きながらも滑稽さを感じていた。
同性の友人との爛れた行為に耽る為、金品を目的として不特定多数の男達の性欲を処理している恥知らずな自分が、人並みの羞らいに困惑しているとは。
そうこうしながらも予想に違わず到着したのは、最寄りの駅。
駅の改札を通る為には、十メートル近くの階段を登る必要がある。
先頭を男が、僅かに遅れてミドリが、数メートル離れてアオイが追随するが、階段に差し掛かった瞬間、はたとアオイは脚を止めた。
唇を噛み締め、階段を登り始めたミドリを恨めしそうに見詰める少女。
だが、逡巡を振り払った少女は、左右の手で前後からスカートを抑えつつ、階段を登り始める。
階段を登る少女は、スカートの裾を気にする余り、自分の中で起こりつつある変化に未だ気付いてはいなかった。
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