木曜日、アオイは学校を休んだ。
努めて意識しないようにしても、気付けばアオイの席を見詰めている自分に気付くミドリ。
・・言い過ぎた・・な・・。
後悔先に立たずの例に漏れず、昨日の自分の言動を省みる少女。
明日も休むのであれば、自宅を訪ねてみよう。
だが、案に相違して金曜日の朝には、いつも通りの時刻に登校したアオイ。
しかし、その表情は暗く、蒼褪めている。
誰とも言葉を交わすことなく、席に座ったままの少女は、放課後になって初めて席を立つ。
帰り支度を始めたミドリの席の前に立つ少女、その蒼白な顔、引き攣った表情は、何かがあったことを示していた。
アオイは握り締めた右手をミドリに差し出すが、その手には何か、、紙幣のようなもの、、が握られている。
「何?どうした・・の・・?」
ミドリの言葉が終わらぬうちに、無造作に開かれたアオイの手から机の上に何枚かの紙幣が舞い落ちた。
皺だらけの紙幣、、五千円札が一枚、そして五枚の千円札。
「・・え?」
「・・ミドリが・・言ったか・・ら・・」
「え?」
「・・言われた通り・・お金・・」
「え?」
「男の人・・に貰った・・。」
そこまで口にした少女は、言葉を切って涙を零し始める。
まさか、そんな・・・。
吐き気が込み上げるミドリ。
涙を流し続けるアオイ。
教室に居る何人かの生徒達は、二人の少女を遠巻きに眺めることしか出来ないでいた。
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