今度はミドリからである。
アオイの唇を塞ぎ、舌を捩じ込む。
待ち侘びていた、そんな表情を浮かべながら、存分に生温かい肉の塊を味わう少女。
アオイにしても、ミドリが自分と躯を交わすことに消極的、いや、否定的な理由が分からないではない。
勿論、同性愛的な行為であることは理解しているし、それがノーマルではない関係性であることも理解している。
ミドリが少女らしい潔癖さ故に、その関係を好ましくないと考えていることも理解はしている。
だが、性的な行為や快感に関する知識が、白紙に近い状態で輪姦に準じた強制猥褻を経験したアオイ。
一時的には穢された存在として、自分自信を貶め、蔑んでいた。
そんな自分を穢れていないと断じ、身を以て証明してくれたミドリ。
それは承認欲求に似ていた。
ミドリがアオイの存在を承認してくれるからこそ、アオイは精神的な安定を保ち、社会生活や学校生活を営むことが出来ている。
アオイ自身、、勿論、ミドリもだが、、は気付いてすらいないが、今尚、アオイは己れを性的に穢れた存在として無意識のうちに蔑んでいた。
身の裡に目覚めてしまった肉の悦びを素直に受け入れることが出来ない程に。
アオイが自慰により昂ぶることが出来ない理由。
それはアオイ自身がその潔癖さ故に、また無意識のうちに肉の悦びや快楽への欲望を嫌悪し、忌避していることに起因する。
唯一、忌避しないで済むのはミドリによる愛撫から生じる悦びのみ。
少女は自慰では昂ぶることが出来ないのではなく、ミドリによる愛撫、言い換えればミドリの存在無しには昂ぶることが出来ない状態となっていた。
上位自我と言っても過言ではない存在としてのミドリと、そのミドリから供される昂ぶり。
これを解消する為には相応の時間が経過する、或いは別の上位自我に出会うことが必要である。
だが、それには、まだ時間が必要であり、二人の少女は幾つかの出来事を経る必要があった。
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