「・・んっ、く・・。」
不意を突かれ、獰猛な生肉の口腔への侵入を許してしまったミドリ。
唾液に塗みれたそれが、少女の舌を舐め回しながら絡み合おうとする。
ミドリとて、この行為が嫌いなわけではない。
むしろ、好ましい行為にして快楽をもたらす禁断の遊び。
これが恋愛関係にある異性であれば、そして時と場所さえ弁えてくれれば、何の抵抗もなく受け入れるに違いない。
だが今は違う。
場所は教室、相手は同性の友人。
にも関わらず、ミドリは陶然としていた。
半月ぶりに味わう温かく湿った肉の塊と口腔に流れ込む唾液は、少女の裡に微睡む獣を揺り起こす。
ヤバ・・い・・。
ギリギリで理性を取り戻した少女は、力任せにアオイの顔を引き剥がす。
呼吸を乱し、額に珠のような汗を流しながら、二頭の獣は睨み合う。
眼尻に涙を浮かべながらアオイは呟く。
「・・どうし・・て・・?」
「・・ここじゃ・・嫌・・。」
本音であった。
場所が問題なのだ。
行為は・・まぁ問題ではあるが、どちらかと言えば優先順位は低いと言えよう。
では、何処ならば良いのか。
自問自答するミドリ。
誰にもその行為の最中を見られない場所、それだけは少なくとも必須条件だ。
「・・分かった・・。」
諦めるかと思いきや、アオイはミドリの腕を掴み、引き摺るようにして何処ぞへと歩き始める。
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