前後不覚、人事不省という慣用表現がある。
ミドリが陥った状態が正にこれだ。
弓なりに反らせ硬直した躯。
真っ直ぐに伸ばされた両脚。
鉤爪のように曲げられた足の指。
それらの硬直が解けるまでには数分以上を要した。
しかも硬直が解けて終わりではない。
仏像のような半眼、薄く開いたままの唇。
その状態で時折、思い出したかのように軽く浅い絶頂を迎え躯が痙攣を起こす、を何度か繰り返す。
木偶人形のように横たわる少女を見守るアオイは、呆気にとられていた。
これ程なのか。
これ程までに乱れるのか。
自分も・・同じだったのか。
こんなにも淫らな姿を晒したのか。
勿論、『儀式』の際、アオイも痴態を晒したのは事実である。
だが、これ程ではない。
ここまで乱れてはいない。
しかし、アオイには分からない。
次は自分の番だ。
ミドリによる愛撫を受け、昂ぶり、肉の悦びに打ち震えるのだ。
少女の期待は高まるばかり。
アオイは立ち上がると階下に向かう。
友人が汗を拭う為の濡れタオルを絞った。
作り置きの麦茶を保存容器ごと取り出す。
グラスに大量の氷を入れた。
少し考えると大きめのバスタオルを数枚取り出した。
あれだけの汗と蜜で濡れるのだ。
取り替えて、二重に敷いた方が良かろう。
少女は大量の荷物を手にしたまま、再び二階に向かった。
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