口腔内に放出された生臭い粘液、これを飲み込む行為が、また男ウケが良いことをアオイは知っていた。
力を失いつつある男性器を咥えたまま、少女は白濁した粘液を槌み下す。
嚥下が終わると完全に萎えた肉棒を舌で舐め清める、ここまでがルーチンプレイだ。
時には『お掃除』の最中に勢いを取り戻し、二回戦目を望む男もいないでは無いが、それは原則として断ることにしていた。
時間がかかるのだ。
短時間の内、連続して射精が可能な男は少なくともアオイの知る限りでは皆無だ。
あの悪夢のような出来事を除けば、だが。
『お掃除』を終えた少女は、ゆっくりと立ち上がり一歩だけ後ろに退がって再び笑みを浮かべる。
この笑みもまた、嘲笑であった。
ただし、自分自身に対する嘲りと蔑み。
金銭と引き換えに、男達の欲望を処理する行為、即ち娼婦たる自分自身を侮蔑する笑みなのだ。
憑き物が落ちたような笑顔を見せながら、男はイチモツを仕舞い終わると、懐から五千円札を出して後金を払う。
前金と併せれば一万円だ。
どうやら満足しているらしい。
いや、破格のサービス内容に対する絶賛。
『ゴックンとお掃除』付きで一万円。
しかも、自称とは言え、制服姿の現役女子中学生なのだ。
「またね。」
執拗に連絡先を尋ねてくる男を尻目に、愛想笑いを浮かべた二人の少女は男とは逆向きに歩き始める。
二人は黙り込んだまま並んで歩いていた。
「・・はい。」
ミドリが差し出した手には先程、男から受け取った五千円札が載せられていた。
『お客さん』から受け取った金額を千円単位で分割し、半分をミドリ、半分をアオイが手にすることになっていた。
仮に千円未満の金額が生じる場合はアオイのものだが、そこは大した問題ではない。
いずれにせよ、この後の『お愉しみ』で、そのほとんどが費やされてしまうのだ。
僅かに余った小銭とて交通費に充当してしまえばお終いだ。
一体、何をしているのか。
女衒として友人の性を売るミドリ。
娼婦として斡旋により口淫を施すアオイ。
苦々しく虚無感に打ち拉がれた二人の少女の想いは同じだ。
同じ想いを噛み締めながら、二人の少女は繁華街の外れにあるホテル街、、その中でもチェックインが無人式の設備を有する馴染みのホテルに向かう。
ホテルに辿り着いた二人は空室の有無を確認すると、手慣れた様子で手続きを済ませ、室内に消えていった。
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