『汚しちゃう』とは何か。
ミドリにはアオイの言っている意味が理解出来ない。
だが、その説明が為されることは終になく、数時間後にその説明はするまでもないことが判明する。
アオイはベッドの上に大きめのバスタオルを広げながら敷く。
敷き終わると少女はミドリをバスタオルの上、中心の辺りに座るよう促す。
オドオドと、そんな表現がピッタリな様子を見せながら、腰を下ろしたミドリ。
その隣に並んで腰を下ろす少女。
「むぐっ!」
その唇を不意にアオイの唇が塞ぐ。
いきなり唇を奪われたミドリの躯は硬直し、身動ぎすら出来ない。
くすくす・・
顔を離したアオイは、含み笑いを漏らす。
対照的に動揺を隠し切れないミドリ。
「この間のお返し・・。」
確かに不意打ちの如く、ミドリがアオイの唇を奪ったのは事実だ。
だが、仕方がないではないか。
誠心誠意、アオイの為に出来ることを実行したつもりであったのだ。
そう言いたいのはヤマヤマであったが、襲われているアオイを見殺しにした事実。
あまつさえ、襲われている光景を観ながら自慰に耽った後ろめたさが、抗弁する余地をミドリから奪っていく。
少なくとも、その時、その場における主導権を握っているのはミドリではなかった。
あの日、ミドリがアオイに施した儀式とそっくり同じ行為が、アオイからミドリに対して為され始める。
違うのは、『救済の為の儀式』ではなく『肉欲を満たす為の行為』である点だ。
ぎこちなく舌を絡める二人の少女。
互いの唾液が互いの口の中で混じる。
混じった唾液が口吻の中では収まり切れず、遂には唇の端から溢れ出していた。
溢れ出した唾液は、それぞれの顎から首筋を経て零れていくが、二人の少女がそれに頓着している様子はない。
いや、ひょっとしたら気付いてすらいないのかもしれなかった。
夢中になって舌を絡め、温かく湿った肉の塊を味わう二人。
だが、流石に呼吸が保たない。
一旦、顔を離した二人は見つめ合いながら乱れた呼吸を整える。
・・いやらしい顔・・。
奇しくも二人の少女は相手が浮かべる表情に同じ想いを抱く。
そして同時に各々自身が、同じ表情を浮かべているであろうことに気付き、ともに羞じらう二人。
先に視線を逸らしたのはミドリであった。
・・・この後・・。
前回、自分がアオイに対して施した救済の儀式が、肉欲を満たす為の行為として為されるのだ。
隠し切れない期待と押し殺された嫌悪。
アオイの指先がミドリの着ているワンピースのボタンを外し始め、全てのボタンを外し終える。
為されるが儘、下着姿にされたミドリ。
ブラカップ付きのキャミソールとショーツのみで身を隠す少女。
その少女の首筋にアオイの唇が触れ、温かく湿った柔らかな肉が這う。
ぁ。
思わず吐息を漏らすミドリ。
性器への刺激とは、また別物だ。
未だ経験の無い感覚。
皮膚感覚への淫らな刺激。
狂ってしまうかもしれない。
はしたない姿を晒してしまう羞らいを『狂う』と称する少女。
だが、最早、手遅れである。
アオイの唇は、舌は、既にミドリの肩を経て、鎖骨により生じた窪みの辺りで蠢めいている。
今、右側への愛撫を終え、左側に移った。
ゆっくりと時間をかけて為される愛撫。
舌を這わせながらアオイの手がミドリの肩に触れた。
少女の両肩からキャミソールのストラップがズラされる。
衣摺れの音とともに滑り落ちた下着。
ミドリの上半身を隠すものは無くなっていた。
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