「いらっしゃい。」
「・・・・お邪魔します・・。」
夏休みが始まって数日後、ミドリはアオイの家を訪ねる羽目に陥っていた。
期待を隠せない・・そんな笑顔を浮かべたアオイが出迎える。
対照的に、、まるで屠所に引かれる家畜のようなミドリ。
取り敢えずリビングに通されたミドリは、飲み物を供されるが、手を付ける気にすらならない。
夏の陽光が降り注ぐリビング、所在の無いことこの上なかった。
・・ここで・・?
願い下げであった。
急な家人の帰宅があった場合、目も当てられない事態に至ってしまう。
「・・上の部屋、行こっか・・。」
流石のアオイも想いは同じと見えた。
階段を上がり二階の一角、少女に与えられた個室に招き入れられたミドリ。
ドアを閉め、密閉空間となった八畳の洋室に閉じ込められた二人は沈黙に包まれる。
「・・どうしよう・・?」
先に口を開いたのはアオイ。
だが、ミドリに何か考えがあるわけではない。
漠然と『自慰の方法』を教える為の訪問としか考えてはいなかった。
口頭で伝えれば良いのだろうか。
それとも?
「ふ、服・・脱いでみてくれる?」
取り敢えず刺激を与えるポイントを説明せねばなるまい。
僅かに緊張した面持ちで頷いたアオイは、Tシャツとハーフパンツを脱ぎ去り、かつて男達に囲まれていた時と同じ姿になる。
だが、下着姿になった少女のシルエットは、以前とは明らかに異なる。
勿論、未熟で硬そうな果実であることは変わらない。
だが、明らかな変貌を遂げ始めていることは間違いがない。
全体的に丸みを帯び始め、曲線で構成されつつある身体。
ふたつの丘陵が肌着を押し上げ始め、その頂上には各々、小指の先くらいの突起が浮き上がっている。
下腹部は、と視線を移動させれば極く薄っすらとではあるが、下着越しにも有るか無きかの翳りが生じている。
呆気にとられたままのミドリに凝視されているアオイは羞らいながら呟く。
「・・そんなに・・視ないで・・。」
慌てて視線を逸らした少女は、しかし友人の下着姿が脳裏に焼き付いて離れない。
成長途中のアンバランスさから生じる煽情的な美が、アオイの心を捉えて離さない。
・・もう一度だけ・・
・・見てみたい・・。
・・触れてみたい・・。
自分自身が信じられなかった。
自分は同性愛者なのだろうか。
そんな想いを振り払うかのようにミドリはアオイに近寄っていく。
型通り左右の腕で、上半身の前面を覆い隠そうとするアオイ。
ミドリは半裸のアオイの姿を見詰めながら、自分の中の何かが変わっていくことに気付いていた。
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