「そ、そんなの・・教えられないよ!」
またもや大きな声を出してしまった。
何事ならんという表情を浮かべた中年女性が、振り返りながらすれ違う。
・・大丈夫。
今のは・・聞かれても大丈夫・・。
カラカラの咽喉に唾を飲み込みつつ、自分に言い聞かせるかのように熱弁を振るうミドリ。
個々人によって味覚における好みが異なるように、、ではないかという推論によるのだが、、自慰もその方法が異なるのではないか。
「だ、だから・・」
ミドリはアオイに適した自慰の方法を教えられる自信がない。
上手く纏めたつもりであった。
ミドリとしては。
「うん。そうかもね。だから・・」
アオイの提案はこうだ。
ミドリのやり方を教えて貰えれば、後は自分で何とかするというのだ。
嫌だ、イヤだ、いやだ・・。
はしたない秘め事について他の誰かに説明なぞしたくない。
出来るわけがなかった。
思慮が足りなかったにも程がある。
歯噛みするよな想いに苛まれる少女。
断わろう。
だが、断ったら、アオイは学校の友人達に配慮の足りない質問をするかもしれない。
どちらも嫌だ。
だが、どちらかを必ず選ばなければならないとしたら。
ミドリは考える。
広く浅いリスクと深く重いリスク。
究極の選択であった。
考えに考え抜いて出した結論。
「・・一度だけ・・だよ。」
一度だけ、己れの秘め事について他人に、、アオイに説明をするのだ。
躯の何処をどのようにして触れながら刺激しているのかを。
最初で最後だ。
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