「今度、皆んなに聞いてみよっと。」
ポツリと呟かれたアオイの独り言に仰天するミドリ。
アオイが友人達に対して聴き取り調査を実施するのは構わない。
その結果、アオイ自身が友人達から白い眼で見られる可能性はある。
だが、それは好きにすれば良い。
ツケはアオイ自身が払うのだから。
だが、調査の際に交わされる会話の内容は、想像するだに恐ろしい。
ミドリに聞いたんだけど・・。
ミドリは週に一、二回だって・・。
そんな会話が交わされることは、想像に難くない。
「ミドリ、オナニーしてるんだって。」
「違うよ、やめられないって聞いたよ。」
「毎週、一回か二回だって。」
「本当はもっとシテるんじゃない?」
「毎日、二回くらいとか?」
その噂に耐えられるとは思えない。
しかも噂ではなく控えめな事実なのだ。
下着姿を、裸を見られる方がマシだ。
「そ、そんなこと聞いちゃ・・皆んなに言っちゃダメだよ・・。」
不思議そうな表情を浮かべたアオイに向かい、滔々と説くミドリ。
性的な欲望を露わにすることは禁忌なのだ。
それは、はしたなく性的な自制心が乏しいことと同義だ。
説明しながら、ミドリは惨めな想いに陥っていた。
それがハシタない行為だと分かっていながら、それなりの頻度で定期的、かつ継続的な自慰に耽溺してしまう十三歳の少女。
全てが自分自身に当て嵌まってしまうのだから世話はない。
言葉を選び、四苦八苦しながら説明を続けるミドリを見詰めるもう一人の少女は、それでも腑に落ちないような顔で呟く。
「・・何となくだけど、ミドリが言いたいことは分かった・・。」
ホッと胸を撫で下ろしたミドリ。
だが次の瞬間、更なる難題が少女を襲う。
「オナニーのやり方、教えてくれる?」
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