ミドリの眼前、ベッドの上には全裸の友人の姿があり、その下腹部は、殻を剥いた茹で卵のように滑らかな上、その肌理の細かい肌は色白を通り越して蒼白い程である。
そしてその臍の下には性毛どころか産毛すら稀な恥丘と秘裂が存在していた。
ミドリは友人の下腹部に見惚れていた。
無意識のうちに自分の下腹部と比べていることに気付く少女。
少女の下腹部には既に若草が生い茂っている。
ミドリが初潮を迎えたのは、やや早目、小学四年生の冬であった。
五年生になった頃、第二次性徴の証、腋毛、恥毛が生え始める。
それらは雑草の如く野放図に生えていき、いつの頃からか手入れが必要になっていた。
「あいつ、腋毛ボーボー!」
目敏い男子からの揶揄と辱しめ。
処置をするのだが、慣れないこととて、また手入れを怠り、両腋に毛先が黒カビのように生え始めていることに気付かぬまま、ノースリーブを着て登校してしまったことがある。
処置の拙さに対する同性からの非難がましい視線に身の置き場がない想いをした苦い思い出。
だが、腋毛に関して言えば入浴の際、手入れを毎日の習慣にしてしまえば良いのだ。
問題は下腹部の処置であった。
自宅で個室の内鍵を閉め切って入念に行われる無駄毛の処置。
下半身の衣類を全て取り去ると、床の上に胡座をかいて座り処置を始めるのが常である。
見られたものではない。
この上無く不様な姿。
少女は密かに恥じ入っていた。
いっそのこと、入浴時に全て剃り落としてしまいたいのが本音だ。
事実、過去に一度だけ試しに剃ってしまったことがあった。
湯船に浸かり、温められて柔らかくなったことを確認すると、父のシェービングクリームを失敬して剃り落とす。
剃った直後は良い。
二日程が経った頃、短絡的な行為を悔やむ羽目に陥った苦い思い出。
再び伸び始めた陰毛の先端が、周囲の肌を刺激するのだ。
一日中、チクチクと痒みと痛みの混在した感覚に苛まれる下腹部。
微妙な部位とて人前で掻くことも憚られる。
ならば毎晩、入浴する際、腋毛と一緒に剃ってしまえば良い。
これが失敗であった。
少なくともミドリの体質にとっては、という意味ではあるが。
二週間ほど経った頃、ミドリの恥丘から外性器周辺にかけての肌は荒れ、爛れてしまう。
デリケートな部分故に母親にも言い出し難いこともあり、更に一週間が経った頃、母親に連れられて皮膚科の門を潜る少女。
下半身の衣類を全て取り去るよう指示され、男性医師の前、診療用のベッドの上、剥き出しの下半身を晒すばかりか、触診を受ける恥辱。
患部の範囲を確認する為、仰向けのまま膝を折り曲げ、秘裂を指で広げられる、更には動物のように四つ這いになり、尻を左右に広げられるという憂き目に遭う少女。
勿論、いずれはアオイも発毛を迎え、処置に四苦八苦する可能性はあり、或いはミドリと似たような羽目に陥いる可能性もある。
だが、この時点でミドリは、アオイの幼い、しかし清浄な下腹部に羨望を、いや、妬みすら覚えていたのだ。
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