「・・大丈・・夫・・?」
口にしてから後悔するミドリ。
理由は明らかだ。
僅か三日間でゲッソリと肉の落ちた頬。
顔といい首筋といい、パジャマから覗く肌は荒れ、明らかにアカギレのように傷んでいる。
誰が見ても大丈夫ではない友人の様子に息を呑むミドリ。
飲み物を運んで来た母親が席を外すと、ミドリはバッグからプリント類を取り出すが、差し出された印刷物を受け取ろうとすらしない少女。
仕方なく立ち上がったミドリが、勉強机の上に手にした印刷物の束を置いた瞬間であった。
ベッドの上に座る少女がポツリと呟く。
「・・あたし、汚い・・の。」
アオイにとっては生殖器官というより、排泄器官としてのイメージが強い男根。
強要されたとはいえ、その男根を口腔に頬張り、舌による淫らな刺激を施し、結果として口の中に放たれた精液。
口の中を穢された、いや、半ば自ら穢してしまったとしか感じられず、どうしても穢れた口唇を経て食事を摂取することが出来ないという。
それだけではない。
裸に剥かれた躯、文字通り全身に放たれた精液、そして身体中がそれら汚濁に塗みれているという錯覚が治まらない。
幾ら身体を洗っても汚濁が落ちた気がしない少女は、四時間置きにシャワーを浴び、力任せに身体を擦する。
結果として荒れた肌はヒリヒリと痛み、アカギレのような状態になっているという。
訥々と語るアオイ。
聴くことしか出来ないミドリ。
「・・死にたい・・。」
光を失った虚ろな瞳を有す少女は呟く。
最後にシャワーを浴び、歯を磨いたのは何時かと問えば、三十分程前だという。
「だったら・・」
ミドリが最後に入浴したのは昨夜だから、既に二十時間近く経過しているし、歯を磨いたのは今朝だ。
汗ばみ、トイレにも何度か行っている。
「あたしの方が絶対に汚いよ?」
「・・うん・・。」
理解は出来るが、感情的に割り切れるものではないのだという。
清掃を終え磨き込まれ、消毒済みとはいえ便器を舐めることが出来ないように。
「で、出来るよ!」
売り言葉に買い言葉ではあった。
立ち上がったミドリは、スカートの裾を気にしながらベッドの上、アオイの横に並ぶようにして腰を下ろす。
突然であった。
突然、ミドリは自分の唇によりアオイの唇を塞いでいた。
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