序章 転(式)
ばあちゃんが来た。教頭も言っていたが家にはまだ電話がない。当時そう云う家は結構あって、クラス名簿(これすら今は無いかw)には(呼)と書いてありました。家の呼び出し先は、少し離れているが本家だ。
「これは岡崎の、どうされました?」
あら意外、教頭が畏まる。
「どうしたもこうしたも、コレの呼び出しがウチだもの、親が留守なら来るしかあるまい」
不機嫌に私をアゴでシャクる。
「で、なにがあったい?」
「それが・・・・・・・」教頭が云うには私と恵美が組んでアイツらを呼び出し、突然殴りかかったと。
「全くこんな薄汚い奴らにあの小林のお孫さんが殴られて・・・・・」野良犬でも睨むように彼女を睨める。「先生!」私は教頭を遮る。「何だね?」不機嫌に返す。「恵美さん、汚いですか?」「はぁ、見りゃ分かるだろう、そんな身なりで・・・?!」教頭はまた、最後迄話す事が出来なかった。私が彼女の手を引っ張って、ペロッとその頬を舐めたからだ。「…ヒャン!!」流石の彼女も奇声を発して蹲る。上目遣いで見る彼女の目は、大きく、澄んでいる。キミ、そんな大きな目だったんだね w
彼女は土と、汗の味がしたが意外に嫌ではない、むしろ近付いた時、陽向の干し藁の様な、ぽかぽかした匂いがした。
「ばっ、馬鹿かね君は!早くうがいでも・・・」「教頭!」またしてもばあちゃんに話の腰を折られる教頭。厄日かもね。「ハッ」最敬礼w「家柄は大事か?」「ハッ、家格は重要で有ります!」「じゃあそこの馬鹿なイロガキな、母方の芝崎を名乗っているが、ウチの重吉の曾孫な、ハッハッハ!」「!!」
「さて…」漸く校長が動いた。「何だ佐俣、居たのか、置き物かと思った。」「これは手厳しいw」
時代劇の様なやり取りの後、この一件、再調査となった。
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