序章 承
ガチャガチャ、カチッキィ
「たっだっいま~」
アニメ「夏目友人帳」の、ニャンコ先生がママ(涼:すず)のお気に入りだ。
「あっ、ママだっ!」
陽菜が玄関先へ走って行く。
「ダメッ、ヒナ!ストップッ」
ママが止める。
「直ぐお風呂入って来るから、ちょっと待って」
玄関先で、徐に服を脱ぎ始める。
ママは医師だ。しかも一週間まえからコロナ対応の都内病院に最前線配備で詰めていて久しぶりの帰宅だ。
「あそこの先生方には恩があるし、それに今は外科でも肛門科でも、私みたいな若造でも、兎に角医師が必要なの」
全世界の人が逃げ出したい中、彼女は自分から志願してわざわざ渦中に向かった。
「外科でも肛門科でも」というが、彼女は心療内科であり、本来なら門外漢だ。「若造でも」と言っても研修医時代から、いや大学生の頃から心療内科に特化して、並み居る精神科医をうならせ、共著とはいえ彼女が関わった「家族環境からみた摂食障害の危険因子についての考察」という論文は、摂食障害だけでなく今の家庭が孕む様々な精神的危険要因について、微細に研究されている。
私の同級生(元カノw)で、医大勤務医が「イヤ、君の(妹)ちゃん、マジすげぇわ」と言う程、33才にして既に精神科界隈では有名人だ。
「さっむ~、やっぱりg馬は風がちめた~い(。槌槌槌)」
玄関先で下着以下脱ぎ捨ててプルプル震え、トテトテと風呂に駆け込む彼女は、140に満たない身長と童顔からとてもそうはみえない。
「あ~良いお湯だった~、あれっヒナは?」
と言いつつ、テーブルのしたのヒナと目があう。
最近、ヒナはパパの独占欲が強くママは呆れていて
「もう!ちんちんばっか舐めてないで、宿題やったの?」
「ひゃったほん(やったもん)!」
「パパだって迷惑だよ!」
「ひはのはははははひひんはほん!(ヒナのパパだからいいんだもん:たぶんこう?w)ぐえぇっ(くわえすぎw)」
「ちんこ離しなさい!ママの兄たんだよ!!」
「ぐうっ(イヤッ)!」
「いだだだ・・・・・(噛まれた(´;ω;`))」
こんな感じでママに対して牙剥き出しで、私にもうべったり。
涼は本来イトコにあたるが、彼女が産まれた時からずっと私の家に居るので、友人達からは妹と思われている。
陽菜は…
そんな陽菜に続く、家譜の物語。
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