夕食の後は自由時間。
体育館でスポーツしてもよし、ロビーでテレビやちょっとした図書室で本を読んでもよし。
その後はお風呂。夜10時には消灯となる。
参加者の泊まる部屋は最大6人寝られるベッドが部屋の両サイドに3つづつ並べられ、親子連れ、親がいない子供達は友達同士で寝るようになっている。
もちろんひなちゃんは母親と同じ部屋。
自分達ボランティアは2人部屋。参加者の部屋とは少し離れている。自分は館長の計らいで1人で使わせてもらっている。
館長はもちろん1人部屋。自分達の部屋からまた少し離れている。
自由時間、僕は他の子供達(女の子達)と一緒にバドミントンを楽しんだ。仕方がない……あまりひなだけをひいきにしていると親達から苦情が来ることもあるから。
ひなも一緒にと誘ったが他の子供達とは馴染めないらしく、体育館の隅で見ているだけだった。
ひなの母親はというと、ひなを僕に任せてロビーで館長との話に盛り上がっているようだった。
僕が子供達とバドミントンで楽しんでる様子をひなは隅で見ながら……少し寂しそうな感じだった。
自由時間が終わり片付けをし各自部屋に戻るとお風呂の時間。ひなは僕が最後まで片付け終わるのを体育館で待っていた。
「ひなちゃん…待っててくれたんだ。ありがとう」
無言のひな。僕はひなと目線を合わせるようにしゃがみ、
「ん……どうした?怒ってる?もしかして寂しかったのかな?」
ひなは顔を反らせ横を向き、
「怒ってない。寂しくなんかない。」
僕はひなの頬を両手で押さえ、反らした顔を僕の方へと向けた。僕の思わぬ行動にびっくりするひな。
「ひな……正直に言いなさい。」
少し強い口調でひなに言うと、ひなは目に涙を浮かべ、
「ズクン……だって……お兄さん他の女の子達と仲良く、楽しそうに遊んでるんだもん。私寂しくなっちゃって」
ううっ……涙ぐむひな、いじらしくて可愛い。
僕は親指でひなの涙を拭い、
「仕方ないでしょ。みんな平等に接しないと……怒られちゃうし。僕と遊んで欲しくてイベントに参加してくる子供達もいるんだから。」
潤んだ瞳で僕を見つめ、
「わかってる。お兄さん優しいしみんなに人気があることも。お兄さんのお仕事もわかってる。でも……寂しくなっちゃって……ううっ。」
僕はいきなりひなのおでこに軽くチュッとキスをした。
またまた突然の僕の行動にびっくりするひな。
「本当は唇にキスをしたかったけど……ひなにはまだ早いからね。」
固まっているひな。ひなの涙が止まってしまった。
おでこでもキスはまだ早かったか?
「ひな……言っただろ?ひなは僕にとって特別なんだと。忘れちゃった?他の子供達と遊んでいてもひなの事考えてた。寂しそうにしているひな……心配だった」
ひなは精一杯の笑顔を僕に見せ、
「お兄さん……嬉しい。」小さな声で「……好き」
今ひな小さな声で好きって言わなかったか?
「ん?今好きって言った?聞こえなかったからもう一度言って!」
「………いわない」
顔を背けるひな。背けた顔をまた僕の方へと向け、
「じゃあ僕が言う。ひな……好きだよ」
「えっ?」
ここは勝負だ。
僕はひなの小さな唇に軽く触れるようなキスをした。
チュッ。
ひなにとって初めてのキス。
恥ずかしそうに顔を真っ赤に染めるひな。可愛い。
「………………もういきなりキスするんだもん。お兄さんひなのファーストキス奪った。」
「嫌だったらごめん。もうしないから…」
「…………嫌じゃない。」
おっ……これは凄い前進だ。勝負して正解だった。
本当に思春期に差し掛かった子供の心は不安定で難しい。でも思いもよらないところでひなのやきもちが感じられた。ひなの心を揺さぶる事が出来た。だからキスも………。
大人と違って子供に曖昧は通じない。好きか嫌いか……
yesかnoかその2つが大事な事。はっきり好きと言う事でひなは自覚するだろう。自分は特別なんだって事を。
僕はひなの小さな唇を人差し指でゆっくりなぞりながら、
「ひな…キスした事内緒だよ。2人だけの秘密」
ひなは嬉しそうに、
「うん…わかってる。2人だけの秘密」
僕はひなの唇をなぞる人差し指をゆっくり小さな口の中へ……。
「ひな……僕の指をキャンディーを舐めるように吸ったり舐めたりしてごらん。」
ひなは不思議そうに僕を見ながら、でも嫌がらずに僕の人差し指を小さな舌で舐めたり吸ったり。僕は人差し指をゆっくりひなの口から引いたり入れたりを繰り返し、小さな舌、歯の感触を楽しんだ。
ピチャッ…チュッ……ピチャッ…チュッ。
ううっ……ひなの舌の感触。早く舐めさせたい。見つめながらは興奮する。
いかんいかん……夢中になってしまった。
ひなの口からゆっくり人差し指を抜き、
「ひな……ありがとうね。」
ひなは不思議そうに僕を見て、
「お兄さん……今の何?ありがとうって?」
「ふっふっふっ。内緒……いずれ教えてあげる。」
「もう…お兄さんよくわからないんだから!」
僕はひなの頭をくしゃくしゃっと撫で、もうお風呂の時間だからと手を繋いで母親のいるロビーに。
まだ母親は館長との会話を楽しいんでいた。
僕はひなにバイバイとハイタッチをし木原親子と別れた。
「館長……母親とはどうです?楽しそうに会話してましたね?」
「ああ……いけると思うが、もう少し時間がかかる。あの母親多分欲求不満が溜まってる。話し方でわかる。倉田くんは?」
「僕ももう少し時間がかかると思いますが、いけます。」
「ふっふっふっ…お互いくれぐれも失敗しないように。どちらかが失敗すると両方だめになってしまうから慎重にね。」
「わかってます!」
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