ひなが勉強している間、3日の行動を考えてみる。
ホテルのチェックインは15時。
スキー場のホテルまでは結構な距離があり渋滞も発生するだろう。
ひなは長旅に慣れていないから3日の朝出発していては、スキー場に着いた頃疲れてスノーボードどころじゃないかもしれない。
だったら2日の昼から出発し渋滞を避け、夜中スキー場に着いて車の中で仮眠するほうがいい。
家庭教師の時間が終わり、その旨を母親に伝えると了解してくれた。
初詣を一緒にと思ったけど、優菜や穂乃花と鉢合わせになるのはまずいので止めることに。
ひなは僕と長く一緒にいられる時間が増え、「やったー!」と無邪気に喜んでいた。
「じゃあ良いお年を!ひなちゃん…1日早まったけど宿題頑張ってね。」
「はいっ!お兄ちゃん!」
「倉田さんも良いお年を。ひなの事宜しくお願いします。」
「こちらこそ…宜しくお願いします」
と挨拶を済ませ帰路に着く。
「ふうっ…やっと落ち着いた。」
年末年始は1人ゆっくりと過ごし、2日朝予約してあったワンボックスカーを借り荷物を積んでひなの家に向かう。
チャイムを鳴らすといつも通り走って出迎えてくれるひな。
黄色のニットワンピに厚手の白のタイツ、茶色のニット帽からお下げに結んだ髪が見え、可愛さが溢れてる。
「ひな…明けましておめでとう!宿題は終わったかな?」
「お兄ちゃん…明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。はいっ!頑張って宿題終わらせたよ。」
ひなの後ろから母親が現れ挨拶する。
「倉田さん…明けましておめでとうございます。ひなの事宜しくお願いします。ひな…倉田さんの言う事聞いて…迷惑かけちゃだめよ。怪我しないように気を付けてね。」
「ママ!わかってる。お兄ちゃんとの旅行は2回目だから大丈夫。ちゃんとお兄ちゃんの言う事聞くから。わあっ!おっきい車。どうしたの?」
僕はひなの荷物を車に積みながら、
「長距離走るし、車の中で仮眠しやすいように借りたんだよ。さっ…忘れ物はない?」
と聞くと、
「大丈夫なはず!朝、何度も確認したもん!ママ!行ってくるね。」
笑顔で答える。
ひなを助手席に乗せ、
「それでは行ってきます。大事なお嬢さんですから、怪我などないよう大切に預からせて頂きます。途中電話しますし帰る時間をまたお知らせします。」
と母親に挨拶する。
すると母親が僕の耳元で、
「倉田さん…ひなはまだまだ子供なのであまり無茶しないでね。ひなの事大切にしてくれてるのはわかってますけど、男と女だもんね。お母さんはわかってますよ。」
と囁かれ思わず「えっ?」と声をあげてしまう。
「だってひなや倉田さんの様子を見てたらわかるわよ。私だって女ですから。内気で人見知りだったひながあんなに明るくなって、倉田さんにはむしろ感謝してるぐらいだから安心して。私だって早かったですからね。」
何が早い?早いって母親も11歳で経験したって事か…。ニアンスが微妙。
嘘…母親にバレてる?館長から聞いた?いやカマかけてる?
「いやいや…僕は純粋にひなを楽しませたいと思って旅行に誘ったんです。僕はあの笑顔に癒やされてますから。」
とあくまでもしらを切る。
「はいはい。倉田さんの言う事を信じますよ。ほどほどにね。」
と笑う母親。
「はいっ!ほどほどにします。」
とつられて言っしまい、母親はしまったと言う顔をしてしまった僕を笑う。
「クスッ…ひなの事お任せします。倉田さんのする事を否定したりしませんから。今度ひなにないしょで私とだったら許しますよ…なんて冗談です。」
「あっ……はい………」
不覚にも顔を赤くしてしまう。
「顔を赤らめる倉田さん…初めて見ました。可愛いですね。」
ひなにないしょでなんて…凄い背徳感。それにしても…冗談か本気かわからない。
バレてるのかバレてないのか…とりあえず母親は僕がひなとエッチする事を容認するのか…すでにひなと僕がエッチしてる事を知った前提での話なのか…。
自分が館長と関係してるのを僕が知らないはずはないと思っての事かもしれないし…。でも母親からOKを貰ったと理解してもいいのか。
頭の中がごちゃごちゃしてくる。
「倉田さん…ひな!いってらっしゃーい!」
助手席のひなに、「いい?出発するよ。」と言うと嬉しそうに「はいっ!」と返事が帰ってくる。
角を曲がるまで母親が手を振っているのが見える。
ひなは顔を赤く染める僕の顔を見て、
「お兄ちゃんどうしたの?さっきママから何を言われたの?」
と聞いてくる。……出発したのに調子が狂ってくる。
「ひなに付き合ってくれて有り難いけど、…彼女と旅行しなくていいの?」
と言われたんだ。
「お兄ちゃんはなんて答えたの?」
「もちろん…今から彼女と旅行なんですなんて言えないから少し困ったんだよ。」
と言うとひなは自分が彼女だと言われた事に気付き、
「お兄ちゃん…嬉しい!ひなを彼女だと思っててくれたんだ。」
と顔を赤らめる。
「もちろん…ひなは僕の彼女だよ。当たり前じゃないか。」
ひなは潤んだ瞳で僕を見て、
「お兄ちゃん…大好き。」
とますます顔を赤く染める。可愛い過ぎる。
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