僕は2人並んで椅子に座っている前に走って近寄り声をかける。穂乃花は目の前に僕が表れたのでびっくりし、山下さんにもたれ掛かっていた体を急いで起こす。
「穂乃花…どうした?体調が悪いのか?」
と言うと穂乃花の横に座る山下さんが、
「あっ…倉田くん。穂乃花ちゃんを1人にしたらだめだよ。具合が悪そうだったから付き添ってたんだ。ちゃんと穂乃花ちゃんを見てないとね。」
と僕に怒る振りをする。
「山下さんすいません。穂乃花ごめん。打ち合わせに時間がかかってしまって…大丈夫か?」
と謝ると穂乃花は顔を左右に振り、
「少し気分がすぐれなくて…でも大分落ち着いてきたから大丈夫。それより山下さんが心配してくれて…迷惑かけちゃった。」
と言うと山下さんは握っていた穂乃花の手をギュッと握り意識させる。
穂乃花はハッとした顔をするも今さら自分から手を離す訳にもいかず、恥ずかしそうに下を向く。山下さんは名残惜しそうに穂乃花から手を離し、
「穂乃花ちゃん…迷惑なんかかけてないよ。調子が戻ったらウォーキングラリーに参加しようね。体調に不安があったら僕が寄り添ってあげるから。」
と笑顔で言うと穂乃花はコクンと頷く。
「後は倉田くんに任せるよ」と言って山下さんはその場を離れる。
ローターが入ってるなんて事を山下さんに言える訳もなく、バレないか不安で仕方がなかったんだろう。そんな穂乃花に近付き本気で心配する振りをする山下さん。
心配してくる山下さんを受け入れるしかなかった穂乃花。手を握られても抵抗しなかったからね。肩にもたれ掛かるまでいくとは思ってもなかったが…。
僕は穂乃花の横に座り、
「穂乃花…体調大丈夫?」
と心配そうに言うと穂乃花は頬を膨らませ、
「お兄さん…スマホ弄ったでしょ?お兄さんが行ってからブルブルと振動が始まったの。
恥ずかしいし…回りに人はたくさんいるし…おまけに山下さんは心配して寄り添ってくるしどうしていいのかわからなかったもん。」
と涙目で怒ってくる。僕は「スマホ触ってないし」と言ってスマホを見る。
「あっ…ごめん。ポケットの中で勝手に起動したみたい。穂乃花…ごめん。」
と謝ると「やっぱり……本当にスマホ触ってない?」と疑ってくる。
「本当に触ってないよ。今度からちゃんとロックしておくね。」
と言い穂乃花の耳元で、
「もしかして振動して…イッちゃった?」
と囁くと顔を真っ赤に染め恥ずかしそうに頷く穂乃花。
「こんな大勢の人がいる中でイッちゃったんだ。穂乃花……エッチだね。もしかして…興奮したんじゃないのかな?」
と聞くと、
「だって……必死に我慢したけど振動が強くて。回りに知られちゃうんじゃないかって凄いドキドキしたんだもん。山下さん心配してくれたけど…玩具が入ってるなんて言えないし…」
と涙目になる穂乃花。僕は穂乃花の頭を優しく撫でながら、
「正直に言ってごらん。本当に嫌だった?」
と聞くと顔を左右に振る穂乃花。
「誰かに気付かれたらどうしようって思うと、恥ずかしいしドキドキして不安だった。でも…気付かれないようにイクって、気持ち良かったかも。」
と本心を打ち明ける。僕は穂乃花の頬をツンツンしながら、
「正直で宜しい。ところで山下さんの肩にもたれ掛かってたし手も握られてたでしょ?男性恐怖症なのに大丈夫だった?」
と聞くと、
「あのね……イッたすぐ後だったし嫌だって思う余裕がなかったのもあるけど、山下さんが寄り添ってくれてなんだか安心出来たの。手を握られても嫌じゃなかった。自分でもびっくりしてる。」
と僕を見上げる。嫌じゃなかったか……さすが山下さんは女の子の扱いが上手い。
「穂乃花…歩ける?お部屋に行って荷物を置いてこないとね。それからオリエンテーションがあるから。」
穂乃花は、
「うん…違和感はまだあるけど、落ち着いたから歩ける。」
と言って椅子から立ち上がる。
僕は穂乃花の荷物を持ってあげ、いつもの自分用の部屋に穂乃花を連れていく。
部屋に入り荷物を置くと、ベッドに並んで腰掛ける。
「お兄さん…あのね……」と言い口ごもる穂乃花。言いたい事はわかる。自分の家でこれから僕以外の人に抱かれないといけない。
相手が誰だとか、いつ抱かれるのか…聞きたいんだろう。
「穂乃花…不安になってきたんだろう?」
と言うとコクンと頷く。僕は穂乃花を抱き寄せ見つめる。
「穂乃花の気持ちわかるよ。でもね…男性恐怖症を克服する為だからね。穂乃花が嫌だったら止めようか?」
と言うと穂乃花は顔を左右に振る。
僕は穂乃花に顔を近付け小さな唇にキスをすると僕にギュッと抱き付いてくる。
舌と舌が絡み合うキス。不安を打ち消すように夢中で僕の舌を追いかけてくる。
ピチャッ…ピチャッ……。
唇を離すと穂乃花は、
「大丈夫だから。私頑張る。」
と僕を見つめてくる。
「穂乃花…相手が誰だとかいつ抱かれるのかはまだ知らなくていい。全てを僕に任せればいいからね。知らない方がドキドキするだろ?」
「…………うん。わかった。」
と返事。覚悟が決まったようだ。
「穂乃花…玩具入れたままウォークラリー参加出来る?」
と言うと、
「お兄さん…絶対そう言うと思ってたもん。本当は少し辛いけど……我慢しないと。」
と参加表明。
「辛いって…?」と聞くと穂乃花は、
「もうお兄さんの意地悪。むずむずして切ないの。気持ちいいけど、それだけじゃイケないし……。歩く度にジンジンするから辛いの。」
やはり……ずっと刺激され続けても深くイケないのは辛いだろう。
「前にも言ったけど、余計な事考えなくても済むだろ?」
「それは……わかってる。」
今すぐ入れたいけど時間がない。
オリエンテーションの時間。
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