自然の家に帰り後片付けを済ませると、しばし館長と話をした。館長の進み具合、自分とひなの事をお互い報告し合っておく必要があるから。
ひなに家庭環境を聞くことはあまりなかった。聞いてしまうとひなの心を閉ざしてしまう事になりかねないと思ったから。ひなといる時間は、出来れば楽しい事だけに集中したい。
父親と別れたのは小学生に上がる前、つまり4年程前だという事ぐらいだった。
館長ならそのいきさつや今の現状ぐらいは母親から聞いているだろうと思った。
「倉田くん……木原親子の家庭環境たがね。」
母親真理の年齢は33歳。22歳の時、出来ちゃった結婚だったらいし。父親は24歳のぼんぼん。別れた理由は、夫の浮気だという事。結婚してひなが生まれてからすぐ浮気を知ったらしい。単なる遊びだと思って我慢していたが……積もり積もったものがあって、ひなの名字が小学生に入ってからではと思い、小学生に上がる前に離婚したということ。
「積もり積もった事…つまりセックスレスだった事も大きな理由の一つ。女真っ盛りの年でセックスレスはつらいだろ?」
「館長…もうそんな話もしてるんですか?」
「倉田くん。当たり前じゃないか。母親、いや彼女の話を親身になって聞いてやらないと目的は達成出来ないぞ。ふっふっふっ…俺も独身の40だ。バツイチだけどな。経験は豊富だぞ。経験からわかるが、母親から一人の女に戻るともう大変だぞ。いずれむさぼるように求めてくるからな。」
「館長……参考になります」
母親は昼間会社務めをしているそうだ。わりとお金に困ってないのは父親の実家から多くの慰謝料をもらったから。仕事は忙しくひなにあまり構ってやれていないそうだ。
「離婚してから、ひなはあまり話さなくなってしまった。母親にも自分の気持ちを言わなくなってしまったそうだ。それが自然の家のイベントに参加してからひなの様子が変わったと喜んでいたよ。倉田くんと、たのしそうに遊んでるところを見て安心していたよ。
だから少し心に余裕が出来たんだろう。眠っていた、自分が女だという気持ちが目覚めた。これも倉田くんのおかげだ……」
「いえいえ……。館長の為になったという事で良かったです。」
ひなの心………。元々別れかたも大切にしていたが、俺に彼女がいると言ってしまうと、ひなの父親と同じになってしまう。自分が浮気相手だと子供ながらに理解するだろうか?割りきるだろうか?
普通の子供は、快感に目覚めると何も見えなくなる。
初めて知る快感の虜になるから。
ただ気持ちいい事だけを追及していけば良かったが。
今後のひなとの事をしっかり考えていかないと……ばれてしまうかもしれない。
ひなの父親に対する思いを直接聞いてみる必要があるな。
「館長……僕の方はうまく進んでいます。ひな自身はまだよくわかっていないようですが無意識に快感に目覚めつつあります。母親の目を反らしてくれている館長のおかげです。ありがとうございます。
今回の話大変参考になりました。」
「倉田くん…くれぐれも慎重に。お互いの為にね。」
「わかっています。」
お互いにニヤッと笑う。
次回のイベント…勝負時だな。
ひな……子供から女に変わる姿見せてくれよ。
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