10時から親子揃ってのアイスクリームとウインナー作り。各テーブルに親子2~3組が着き、一通りの説明を受け作業に取りかかる。
もちろんひなと優菜親子のテーブルは同じに割り当てである。
エプロン姿のひなと優菜……2人とも可愛い。裸にエプロンだったらもっと良かったのに、なんて想像しながら各テーブルを回りお手伝いしていく。
進み具合を確認しにひなと優菜のテーブルに行く。
基本母親達は子供に任せて見ているだけのようだ。
ひなはさすが…家でも料理の経験があるからか手際が良い。優菜の事をちゃんと見て、教えながら楽しそうに作っている。僕は優菜に、
「おっ!優菜ちゃん…一生懸命頑張ってるね。集中してやることはいい事だよ。」
優菜は僕を見上げ、
「倉田お兄ちゃんが集中する事が大事だって教えてくれたから、優菜集中してるの。それにひなお姉ちゃんと一緒だと楽しいし」
エッチの時にさんざん集中しなさいって言った事が良かったか。あまり深い事は言ったらだめだよ。
優菜の母親が、
「あっ…倉田さん。お世話になってます。なんか昨日の優菜と今日の優菜、違う子のように見えてしまってびっくりしてるんです。ひなちゃんの言う事しっかり聞いてあんなに真剣にまた楽しそうにしている優菜、見てて安心してます。これも倉田さんのおかげですね。ありがとうございます。」
優菜は、もともと何事にも真剣に取り組む性格だったんだろう。落ち着きのないのは、いろんな事にきょうみを持つ為。それにさっきよっぽどすっきりしたんだろう。ひなもちゃんとお姉ちゃんしてる。
するとひなの母親が優菜の母親に、
「うちのひな、優菜ちゃんが友達になったって凄い喜んでいたんです。ひなは内気で人見知りだったのに倉田さんのおかげで明るく活発になったんですよ。優菜ちゃんとお友達になったのも倉田さんのおかげだと思ってます。このイベントに参加して良かったです。」
僕は母親2人に、
「いえいえ…僕は何もしてないですよ。子供達と一緒に遊んで、いいところを見つけて誉めるだけ。でもそう言っていただけると嬉しいです。」
ひなの母親のフォローは有難い。そこへ館長がやってきて話に加わる。
「村瀬さん……倉田くんは子供達の気持ちを掴むのが上手くて、みんなの人気者なんです。」
館長まで僕をフォローしてくれて優菜の母親からますます信頼を得る事が出来た。
僕は館長に、
「そんなに誉められても何も出ないですよ。館長もみんなの事見て僕達に指導してくれてるじゃないですか。その指導があっての僕ですから。」
ちゃんと館長のフォローもいれておかないと。
暫く雑談で盛り上がると館長はその場を離れていく。
ひなの母親と優菜の母親との会話を聞いていると、子供達が同じ学校に通っている事がわかりびっくりした様子だった。
ひなの母親が今度家庭教師をしてもらう事を話すと、優菜の母親が僕に、
「倉田さん。うちの優菜にも家庭教師してもらえないかしら。勉強もそうだけど、倉田さんの指導があると優菜もしっかりするんじゃないかと思うんです。」
これは願ってもない事だが、よく考えて返事をしないと。ひなもそうだが、うまく別れられなくなってしまう。まあ子供の教育を僕に丸投げする事がいい事なのか。まっ…なるようになれ。
「村瀬さん…優菜ちゃんの意見も大切ですが、前向きに考えさせて頂きます。」
そこで優菜ちゃんの母親とも電話番号の交換をする。
母親は何も知らない……子供達が性に興味を持ち、ひなは既に経験を済ませ、優菜も絶頂を知ってしまった事を。
その後、出来上がったウインナーを焼き、作ったアイスクリームを食べて今回のイベントは終了。
次回9月のイベントは一泊二日。
一日目はウォークラリーと野外炊飯。キャンプファイヤー。
二日目は、竹とんぼ作り。
後片付けを済ませ各自解散となる。
僕はひな親子のもとへ向かい、次回のイベントの説明をし、
「ひなちゃん……色々ありがとうね。優菜ちゃん凄い喜んでたよ。」
ひなは笑顔で、
「ひなも優菜ちゃんと友達になれて良かった!楽しかった。お兄さん…家庭教師宜しくお願いします」
ペコリと頭を下げるひな。今回は寂しそうな顔をしていない。家庭教師で会えるから。
ひなの母親から家庭教師のお願いと次回のイベントに参加する旨を聞き、館長と共に見送る。
その後、優菜親子の元へ、
「優菜ちゃん…楽しかった?」
と優菜の頭を優しく撫でながら聞くと、僕を見上げ悲しそうな顔をする。
「凄い楽しかった!でも……お兄さんとお別れするの寂しいな……」
すると優菜の母親が僕に、
「倉田さん…次回のイベントも参加させてもらいます。宜しくお願いします。優菜がお兄さんに会いたいって言うから……。ね?」
と母親が優菜に視線を送ると、
「うん!次回も参加する」
と嬉しそうな顔をする。すると母親が、
「父親は単身赴任でたまにしか家に帰ってこないんです。優菜も寂しい思いしてるって思うけど仕方ない事なので。倉田さんが家庭教師して頂ければ優菜、寂しがらないかなって思ったんです。」
そうか…館長が優菜の母親も欲求不満が溜まってるって言ってたのはそういう意味だったんだ。
僕は真剣は表情で、
「そうだったんですね。僕にお手伝い出来る事があれば、喜んでさせていただきます。」
それを聞いて優菜が、
「お兄さん!あのね……優菜の街で夏祭りがあるの。
お兄さん来てくれないかな~。お兄さんが来てくれたら楽しいかなって」
おっ…それはいい考えだ。優菜の可愛い浴衣姿見れるんだ。んん…少し興奮してきたぞ。でも優菜とひなは同じ学校だし…どうしようか。ひなに内緒にしてるとバレた時困る。
優菜の母親が、
「倉田さん……無理なさらなくてもいいですよ。」
と申し訳なさそうに言ってくる。僕は、
「いえいえ…その日は予定も無いですし、今後の家庭教師のお話も兼ねてお伺いしますよ。優菜ちゃんが喜んでくれれば嬉しいです。」
「倉田さん…ありがとうございます。」
「お兄さん!ありがとう!お祭り楽しみ」
優菜の嬉しそうな顔。ううっ……可愛い。
その後優菜の母親と館長がこそこそ話をしているのを見て見ない振りをし、優菜と話をする。
「優菜ちゃん…お祭り行くのはいいけど、ひなお姉ちゃんと同じ学校なの知ってるでしょ?ひなお姉ちゃんに黙ってる?もしひなお姉ちゃんがお祭りに来たらバレちゃうよ。」
優菜は少し考え、
「お兄さん……夏祭りは2日あるの。だから一日目は優菜と、2日目はひなお姉ちゃんと一緒にと約束すればどう?一日目は優菜と2人きりがいいもん。」
優菜もなかなか考えてる。それに内気で人見知りなひなが、一人でお祭りに参加するとか考えにくいし。
バレたら偶然を装えば、なんとかなるかな。
僕は優菜の耳元で、
「わかった。優菜の言うとおりにするよ。優菜の浴衣姿楽しみにしてるね。」
「はいっ!」
館長と母親との話も終わったようだ。
館長と村瀬親子の車を見送る。
「館長……村瀬さんとはうまくいきそうですか?」
館長はニヤッと笑い、
「今度お酒でもどうですか?と聞いてみたんだが、喜んでOKしてくれたよ。倉田くんはどう?夏祭り…楽しそうじゃないか。まっ…お互いうまくいくようにね」
「はいっ!もちろんです。失敗は許されませんから。よくわかってます。」
館長は僕の肩を軽くポンと叩きその場を後にする。
僕も帰る準備をするか。
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