3年間、大きな事件はないと言っても、それなりに大変な時期はありました。
まず、僕が中1になると、詩乃ちゃんは中3。受験生です。自分の勉強が大変なのに、変わらず週末には僕の家庭教師に来てくれました。
この時期はさすがの詩乃ちゃんも、疲れて元気がなかったので、僕はご褒美タイムになっても激しく責めたりせず、癒すように、慰めるように、ゆっくりと気持ちよくさせてあげました。
無事志望校に合格すると、詩乃ちゃんはすぐに生徒会役員になり、家に生徒会の仕事を持ち帰ってくるようになりました。
この時期は、これまでのお返しに、僕の方が詩乃ちゃんの家に泊まりに行き、仕事を手伝ってあげました。
遅い時間までふたりで資料つくりなどに取り組み、テンションがあがったり勢いのまま、詩乃ちゃんのベッドで激しく求め合いました。
この頃詩乃ちゃんは、ますます美しさに磨きがかかり、僕は『絶対高校とかでもモテているはず』と不安になりました。
でも、詩乃ちゃんは全く他の男を気に掛けている様子がありません。
僕が理由を聞くと
「まあね、気を引いてくる男子がいない訳じゃないけど、私は純平の方がいい。いっぱい気持ちよくしてくれるし」
と言って笑います。
「でも!僕なんかそればっかりで、なんの取り柄もなくて…」
僕が不安な気持ちのまま言い続けると、詩乃ちゃんは『しょうがないなあ』とでも言うような顔で
「あんた、自覚してないみたいだけどね。可愛いのよ、すごく…顔が」
と言ってくれました。
でもそれは要するに『童顔』ということで、中2の男子がそう言われても、素直には喜べませんでした。
「純平はイヤかも知れないけど、私はそこが好きなの。ダメ?」
僕がなんと返事していいか困っていると、詩乃ちゃんは僕を抱き寄せ、優しくキスしてくれました。
その翌年は、僕の受験です。
僕は何としても、詩乃ちゃんと同じ高校に進みたかったのに、なかなか成績が伸びません。
詩乃ちゃんは家庭教師を週2回に増やし、これまで以上のスパルタで、必死に教えてくれました。
ふたりともヘロヘロになるまで勉強し、それでもその後、重い身体を引きずるようにゆっくりと交わりました。頭はオーバーヒートしてるのに、身体は詩乃ちゃんの温もりを求めていて。どんなに追い詰められても、詩乃ちゃんとセックスをするとスッキリして、また頑張ろうという気持ちになれるのが不思議でした。
その甲斐あって、翌春、僕は無事詩乃ちゃんの高校に合格しました。
僕の家は、田舎の旧家で、僕は跡取り息子ということで、恥ずかしくなるほど盛大な祝賀会が行われました。
その席でのこと。この頃少しボケ始めた僕たちの祖母が、急に
「なあ、純平と詩乃は、めおとになるんか?」と周囲に尋ねました。
それを聞いたとたん、詩乃ちゃんは一瞬で真っ赤になり、俯いてしまいます。
なんと、秘密にしていたつもりの僕たちの交際は、とっくに親たちにバレていたのです。
詩乃ちゃんの父、僕の叔父がとりなし
「母さんそれは…まだふたりとも学生なんだし、なあ?」と言ってくれました。
男として、難敵となるはずの『彼女の父親』が交際を認めるように、そう言ってくれたのに、詩乃ちゃんはいつもの気丈さはどこへやら、今にも泣き出しそうに肩を振るわせています。
『ここは、男の僕がしっかりしなきゃ!』そう決心した僕は、祖母に
「そんなんだ、ばあちゃん!僕、詩乃ちゃんのことがほんとに大好きで、お嫁さんにしたいと思ってる!認めてくれるかな?」と叫ぶように言いました。
すると祖母はニッコリ笑い、
「可愛い孫ふたりが夫婦になって、この家にいてくれて、こんなにめでたい話はないねぇ」
この一言で、僕たちは『親戚一同公認の仲』になりました。おばあちゃんには感謝しかありません。
祝賀会のあと、離れの僕の部屋に来た詩乃ちゃんは、震えながら
「怖かった…」と言いました。
「私、情けないね。いつもえらそうにしてるのに、大人のだと固まっちゃって…」
『そんなことない』と言おうとしましたが、ここは、ふたりの関係を進化させるチャンスだと考え
「詩乃ちゃんは、強くなくてもいいよ。これからは僕が詩乃ちゃんを守る!」
と見栄を張りました。
すると詩乃ちゃんは柔らかい笑顔になり
「今日の純平、今までで一番カッコよかったよ。これからも、頼りにしてるね」
と言ってくれました。
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