愛液だらけになった顔を袖でぬぐい、俺は裸のゆきに毛布を掛けてやり、隣に寝そべった。
「気持ちよかった?」
俺が聴くと、ゆきは素直に頷いた。
「じゃあ、今日はこれでおしまいにしよう」
するとゆきは、俺の方に顔を向けて一瞬俺を見つめ、すぐに目を伏せて
「最後までしてくれないの?」
と聞いた。
「ゆきは今日、はじめてイッたんだろ?」
「いく?…さっきのが…?」
俺は頷いて
「それだけでもかなりショックなはずなのに、その上最後までだなんて、負担が大きすぎるよ」
「ゆきはもう、俺の彼女なんだから、続きはいつでもできるから。」
俺がそう言うと、ゆきはふいに思い出したように
「あ、あの!さっきの、ホントに?」
と聞いた。
「俺が、その場の勢いで好きだなんて言う男に見える」
「そんなこと…でも、私…私なんか…」
言いながら、ゆきの眼に大粒の涙が溢れ出した。
そしてとうとう、両手で顔を覆って嗚咽し始めた。
俺が肩を抱き寄せてやると、そのまま胸に顔をうずめて泣き続けた。
この時ゆきが泣いた理由は、想いが通じた喜びだけではなかっただろう。この少女は、恵まれない環境の中でも朗らかに過ごせるよう、周囲から侮られないよう、常に気を張って生きてきたのだろう。それが、大人の頼れる彼氏ができたことで、一気に緊張の糸が切れたのだ。
俺はますます、ゆきの人生をなんとかしてやりたいという気持ちを強くした。たとえそのために、今までのようにスキー中心の生活ができなくなったとしても。
俺はゆきに腕枕をしてやり、ゆきが泣き止んで落ち着くまで、ずっと背中をなで続けた。
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