離れ離れになっていた二人の心を辛うじて繋ぎ止めていたものは、互いに信頼する一途な想いと己を律する過酷なまでの自制心のみであった。
そんな姿勢を貫き通そうとして来た彼にとって、苦い言葉を吐き出す様な悲しみに満ちた彼女の姿は、そっくりそのままに自分自身を映し出す合わせ鏡のようでもあった。
宏之「君は・・君って娘はそこまでして
僕に今の姿を見せたくって・・そんな無理までして・・」
彼女の健気な乙女心が彼の胸にも突き刺さる。
宏之「ぜんぶ・・この全ての責任は僕にある」
「だったら・・」
「僕の人生の全てを懸けて
君を幸せにする・・絶対にする!」
物語のセリフの様なキザな言葉も彼女の前では胸を張って言えた。
宏之「・・悠優・・」
(君に出会う事が出来て本当によかった)
悠優「・・宏之さん・・」
(わたしのぜ~んぶをあげる..いえ..ううん..
ぜんぶ、もらってください…おねがいします…)
ゆるゆると溶けてゆっくりと時間を掛けて混ざり合って行く二人の心は、他のどの様な思惑にも決して分離させる事は叶わない。
そして二人はその心同士に引き込まれる様に、実体としての身体同士を深く深く繋ぎ合わせて行く。
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