カメラマン「悠優さ~ん! もうちょっと前屈みで~!」
「はいはい! そう! そんなカンジで~す!」
悠優(ん?..ええっ?! どっ、どんな感じよ?)
”パシャッ ピィー“ ”パシャッ ピィー“ ”パシャッ ピィー“
カメラマンの指示に沿って次々とポーズを変える彼女に併せて、シャッター音とストロボのチャージ音がセットで追い駆けて来る。
カメラマン「はーい! OK! 次行きま~す!」
一つのコーディネートを撮影し終わると、袖に戻って瞬く間に着換えを済ませる彼女。
カメラマン「今度はその籐の椅子を使って、そーだなぁ・・
より自然な雰囲気を出してみようか~ ねぇ~!」
悠優(自然な感じ?..はぁ?なにそれ?..
何を以って自然って言葉を表現して体現しろっていうの?)
(そもそも自然ってなんなのよ?)
(ナチュラルの意味を説明してごらんなさいよ)
”パシャッ! ピィー パシャッ! ピィー・・・“
常に作り物ではないナチュラルな笑顔を絶やさぬ彼女の表情は、周囲のスタッフ迄をも虜にしてしまう程の魅力に満ちている。
そして天性のモデル勘を持つ彼女の仕事振りは、関係者達の希望を何時如何なる時でも迅速に叶えてくれる。
カメラマン「よ~しっ! こんなもんかな!」
「それじゃ、確認してみよっか!」
スタッフ「休憩入りま~す」
スタッフ一同で今迄行って来た撮影のチェックが始まると、彼女は待ちに待ったひと時の休息に入る。
悠優「ふうぅぅ・・さてと、あの~メイクは? どうします?
あ、はい このままで? 後でまた? はーい 了解でーす!」
「じゃあ、ちょっと・・」
「あっ すいませ~ん」
短くも貴重な自由時間を手に入れた彼女は小さなバッグを携えてトイレへと急ぐ。
そしていそいそとレストルームへ駆け込むと、見渡した一番奥のドアを選んで開けて閉める。
すると溜め息一番・・。
悠優「はあぁぁ~・・」
「ここが最高に落ち着く~」
「ん~・・ふ~・・」
勢い良く便座の蓋を開けてミニのワンピースの裾をたくし上げ座り込んだ彼女は、”流す“のボタンを押した後、我慢していたおしっこを可愛らしい音と共にちょろちょろと流し出して行く。
そこで何やらホッとした彼女は張り詰めていた気持ちが一気に緩んだのか、ついつい本音を漏らしてしまう。
悠優「・・やっぱり何度やっても
撮影だけは”勘弁して“だなぁ~・・くすん(半泣き)」
見る者の誰しもが魅了される彼女のグラビア撮影は、実のところ彼女自身が一番の苦手としている仕事である。
そして更に付け加えれば、それ自体を仕方なく行っていたからに他ならないのだ。
そんな彼女は本音を漏らしたついでに珍しくも愚痴をこぼしてしまう。
悠優「う~ん(苦虫)・・これって
いつまで続けなきゃいけないんだろう?」
「こまったなぁ~」
「あ~・・参ったよ~!」
そんな彼女の抱く憂鬱も今暫くの辛抱であった。
※元投稿はこちら >>