悠優(はじめてのキスって?..なに?..
それってどういうことなんだろう..)
性を対象とした異性との関りが無かった彼女にとって、彼の言っている言葉の意味など深く理解出来る訳も無い。
それに加えて彼と彼女は親子ほどの歳の差があった。
只、彼の真剣な表情からは、嘘の匂いは微塵も感じられない事だけは確かであった。
悠優「・・わたしも・・」
内田「えっ?・・なに?」
悠優「わたしも、はじめてだった」
内田「悠優ちゃん・・」
JCになりたての少女と30を優に過ぎた男が初めて同士の唇を逢わせたのだ。
その奇異なる事実を前にして二人はより強く互いの心を近付けて行く。
内田「ゆっ、悠優!!」
彼はベッドの上に乗り掛かって彼女の名を呼び捨て、その華奢な身体を抱き締めてしまう。
悠優「あっ!・・うちだ・・さん?」
更に互いの名を初めて呼び合った二人は、先程までのついばむ様なキスとは異なって唾液を交換する様な濃厚な交わりへと進んで行く。
悠優(んんっ? ぅんんんっ んあぁっ はあぁぁ)
(..うちださんのした..にゅるにゅるした舌が
おくちのなかに入り込んでくるよぉ~???..)
彼は彼女の柔らかな唇をこじ開けて己の大きな舌を侵入させてしまう。
悠優「はあっ! はあっ! はあっ!」
(あ、あっ? ああっ!!..それに、それから..
わたしのつばを?..なになに?..えっ?..
ええっ?!..の、のんじゃったの~???)
少女の甘い香りと柔らか過ぎる唇の感触に彼の理性は何処かへと吹き飛んでしまった。
そしてその手と腕で抱き締める儚げな感覚を物ともせずに、彼女の口から分泌される蕩ける様に甘い唾液を力いっぱいにジュルジュルと吸い取って、ゴクリゴクリと飲み干して行く。
内田「悠優っ!!」
(なっ!なんて..何て甘くて美味しい飲み物なんだ!!)
(ゆうゆっ!! ああっ!! 悠優っ!!)
つい数時間前に彼女と出逢ったばかりの時は、ルックスが極めて良く、最高に優れたスタイルを持つ稀有な存在の少女だと認識していただけであった。
だがしかし今となっては事情が異なって来た。
彼は彼女に恋をし始めている。
自らの生涯に渡って、性の対象としての異性とは決して巡り合う事が出来ないであろうと半ば諦めていた彼ではあったが、遂にその対象である女性と巡り合う事が出来たのだ。
彼の小さく縮んでいた心は、今その喜びに満ち溢れて解き放たれ様としていた。
悠優(..おとなの..おとこのひと..それと..嗅いだことがないにおい..
でもなんで?..なぜわたしみたいなCの子に興味があるの?..)
(わからない..どうして?)
(..だったらおとなのおとこってなんなのだろう?..)
彼女の乙女心は未だ揺れている。
しかしそれも仕方の無い事ではあった。
如何せん、出逢いのシチュエーションがいびつな形で過酷過ぎたのだ。
冷徹な契約と云う縛りが在る内では、彼女の心は真の意味で解放されたりはしない。
寄り添いつつある二人の心の間に存在する深い溝は、早々には埋まらないのかもしれなかった。
※元投稿はこちら >>