僕が通っていた学校は、外国人の受け入れに慣れている学校でした。もしかしたら、田舎(小樽も田舎だけど)のほうの学校では、外国人の転校生がくるというだけで、大きな騒ぎになるのかもしれませんが、僕の学校ではたくさんの先輩移民ロシア人がいるために、学校も彼ら彼女らの扱いがマニュアル化できているんだと思います。
ミラも中学3年になってからの日本の生活ということで、最初は「あいうえお」の幼稚園児向けのドリルを国語の時間にやっているという光景でしたが、体育や水泳などは語学はいりませんので、持ち前のプロポーションの良さと、運動神経の良さで直ぐに皆と溶け込んでいきました。
ミラの父親は日本酒が好きで、日本酒をプレゼントすると、彼らからはキャビアをくれるという事もあり、僕の漁師である祖父は「日本酒とキャビアはな、日露戦争の時からの定番じゃよ」と語ってくれたのを覚えています。聞くところによれば、日露戦争の時の戦争中、停戦時間というのがあって、その時に日本兵もロシア兵も敵であるにも関わらず、前線ラインで物資の交換をしあったそうです。昔の戦争は、そういった武士道、騎士道がまだ生きてた。と祖父は言ってました。
また家が近所という事もあって、僕が母親に怒られている時の母親の怒鳴り声も相手に聞こえるし、ミラが母親に怒られている時の声も僕の家まで届いていました。そんな翌日は、「昨日怒られてた?w」と通学中に会話するところから、僕とミラはご近所さんの垣根を越えて打ち解けていったのです。
これが小学校時代とかなら、ただの幼馴染という事で終わるのかもしれませんが、ただその時はお互い年ごろでした。
中学3年という思春期真っ盛りで、なお周囲にも「誰それが誰それと付き合っているらしいぞ」という噂が流れ始めるこの頃でした。
僕も今まで外国人の彼女、というものを考えたこともなかったし、想像もしたこともありませんでしたが、その時の僕の周囲で一番仲良くしている女子といえば、ミラの他いなかったということもあって、(こんな子が彼女だったらな・・)と惹かれ始めてはいたのです。
ですが、少しミラと仲良かったとしても、ミラの家族は僕たち家族に対し、父の代から漁師をやっていて、家や倉庫からは漁で使う器具からの独特の磯臭さ、生臭さを醸し出す僕の家は、王侯貴族のようなミラ家からは、「見苦しい庶民」だったのかもしれません。
ミラの父親も母親も、家の近くで会う時は会釈くらいはするのですが、ミラの家族が、他のロシア人家族と街中で談笑している時に、僕たち家族が偶然とおりすぎて目が合ってもミラの両親は僕たち家族に対して知らん顔でした。これが、ロシア人は気取っている。と思われる主要因の一つです。
ただでさえ気取ったロシア人なのですが、特にこのミラ家の両親は、絵にかいたロシア人のステレオタイプのような人でして、お父さんは有名貿易会社の支店長(つまりエリート) お母さんは教育ママのヒステリックな厳しいご婦人。まるでドラマかなにかの構成です。
ですから、よくミラの家からは父親の怒号、母親の金切り声が聞こえてくることもあり、僕の家では「あっそこの家は厳しすぎるよなあ~」「んだなぁ」と良く言ってました。
ミラが引っ越してきたのが中学3年の春先、そしてその事件が起きたのは初夏になる頃でした。
その時、僕は部屋で何か雑誌を読んでいるかなにかしていたと思います。北海道独自の涼しい夏のは入り口で、窓をあけて涼んでいたら、また週に1回2回は聞くであろう、ミラの母親の金切り声が聞こえてきたのです。
僕は慣れていたので(また叫んでるなあのオバハン)くらいに思っていたのですが、その時、ドタン!!!という大きな戸の閉まる音がして、僕は2階の自分の部屋の窓から見渡せる、ミラの家そして庭を見てみたら、外に追い出されてるミラがいたのです。
(おいおい、家まで追い出すのかよ、、小学生じゃあるまいし)とあきれた感じで思っていたのですが、相手はいっても一人娘です。そのうちすぐに家に入れるだろう。と思っていたら、30分たっても家の中に入れてもらってる様子はなく、庭でひとりうずくまって座っているミラがいたのです。
僕は「おーい・・・ ミラー」と小声で彼女を呼ぶと、うずくまっていた彼女は頭をあげて、「ハイ ノ」 と手を挙げてきました。おそらく、(気にしないで。。大丈夫だよ)と伝えたかったのかもしれません。
僕は相手が気が付いたので、そのまま1階に降り、僕も庭に出てから柵ごしに話しました。「家はいれないの?」すると「うん」と答えてきたのです。
初夏といっても夜はまだ肌寒いので、「家こいよ。寒いだろ」と僕は下心のない親切心でミラを家にくるように誘いました。
それに家は祖父も父も漁に出ているし、母は朝が早いので20時には寝ています。世間でいう「親の知らないスキに女の子を連れ込んで」ではありませんが、僕は裏口から家に入って、ミラを自分の部屋に入れてあげたのです。
僕は「なんで家追い出されたの?」ときくと、まだ日本語がそこまで上手ではないミラは、「えーと、、ともだちと電話してた。勉強しないかったので怒られちゃった」
(そんな理由かよ)と思いましたが、ミラもミラで母親に口答えするから余計に母親を怒らせているのかもしれませんし、家庭の事なのでそれ以上はつっこみませんでした。
一方、ミラの両親も、てっきりミラが庭でひとり反省しているとでも思っているのでしょう。玄関先から道路に追い出した訳でもありませんので。とくに探しにくるという気配もありませんでした。
ミラもミラで、怒られ慣れてるのか、、「ドラえもんよんでいい?」と、僕の部屋の漫画の本棚にあるのを指さし、意外とくつろいでいるんです。
「ああ、、いいよ」と承諾すると、「面白いよねこれw」と嬉しそうにドラえもんを取り出すのでした。
(なんかなー・・・。というかこっちが怒られないだろうか、、夜の21時なんかに女の子連れ込んで・・)と思い始めてました。
一人で机に座り、時計を見ながら、(この先どうすんだ。。)と思っていたら、背後で「クスクスww」と笑い声が聞こえてくるので、(追い出されてんだぞ?)とふりかえると、「はははww」と笑いながらミラはドラえもんを読んでいるのですが、
その時僕の目に移ったのは、とんでもない光景だったのです。
僕の部屋の壁に背中をもたれさせて、、両足を(体育座りに近い)立てていたのですが、その時スカートの中からパンツが丸見えだったのです。
つづく
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