澪「それじゃ、着替えて来るね!」
彼女は上機嫌で更衣室へと向かって行く。
彼はその後姿を見ながら、失敗した~!と悔やんでいる。
何故なら彼は彼女の性格を知り尽くしているからであった。
彼女の事である。
どうせ無理難題を押し付けて来るに決まっている。
彼は、どうやってそれを回避する事が出来るかと云う、只それのみを考えていた。
典史「コーチ!」
「あの~、これからプールを個人的な理由で借り切る事なんて
到底、無理な相談ですよね?・・」
「いや、そうだ!!」
「そうに決まっている!」
「一部員が勝手に貸し切りだなんて・・」
「そんな恐れ多い事が許される筈も無い!」
彼が一方的にペラペラと喋りまくる様子を見て、部のコーチが彼に応える。
コーチ「お前・・今日は何だか饒舌だなぁ~?」
「いつもはムッツリと押し黙っているくせに」
「ああ!そうそう!」
「今日の練習はこれで終わりだから
幾らでも個人使用をしてもイイぞ!!」
典史「なっ!・・」
「・・そん、な・・」
コーチはニヤニヤと面白可笑しそうに含み笑いをしている。
彼は遂に唯一頼るべき人物にさえ見放されて仕舞った。
そして、そんな不毛なやり取りをしている内に、彼女の準備が整って仕舞う。
彼女は先程までクラブで着ていた、白一色の競泳水着を場内の皆に披露する。
雫「ジャ~ン!!」
「水中戦隊オヨグンジャー!!の~・・」
「ソルジャー”ホワイト“で~す!」
彼女はスポーツタオルでその身を隠していたが、おどけた台詞の掛け声を合図にそれを一気に脱ぎ捨てた。
一同「ぅおおおぉぉぉ~~~!!」
「マジでぇ~?!!」
「スッゲー!!」
そこに現れた少女の姿は、女子部員の水着姿を見慣れている筈の男子部員でさえ刮目させる程のインパクトと欲情を誘う、目で見て確かめる事の出来るスペックであった。
その微かに透けて見える形の良い”ちっぱい“や美しいカーブを描くウェスト。
更に股間に食い込むハイレグVゾーンと、明確におまんこのワレメを主張する一筋の眩しさを持つ縦溝。
最後に、その身体の上に載る、やや丸顔の小さな顔はアイドル級の可愛さを誇っている。
それら全てが男の視線を釘付けにする魔性のアイテムであった。
そして終いには、その少女がマスコミにも度々取り上げられる、誰しもが認める競泳界の若きニューヒロインであると云う、プレミアム感満載の存在であると云う事実だ。
恐らく場内殆どの男子部員は、例えロリ趣味が有ろうが無かろうが、その美しい肢体に胸躍らせて股間を熱くして仕舞うに違いない。
彼女のルックスには、それだけの大いなる魅力が有った。
だが、彼、典史はそんな事に構っては居られない。
彼女にどれ程のハンデを言い渡されるのか。
その事だけで頭がいっぱいであった。
典史「え~と、勝負の種目と距離は?・・」
雫「勿論!50のフリーで一発勝負よ!!」
勝負の内容は50メートル自由形で決める事になった。
典史「それから・・・」
「どれだけハンデを付けたらいいのかな?」
「自分としては、なるべく・・」
彼がそこまで言うと、いきなりコーチが間に入って来た。
コーチ「ハンデは第三者を代表して俺が決めてやる!!」
コーチは彼の股間に硬いスポンジ状のビート板を挟ませて、両脚膝の上部分をガムテープでグルグル巻きに縛って行く。
コーチ「どうでしょう?こんなもんで?」
「何なら、もっとハンデを付けましょうか?」
コーチは大先輩北川の顔色を頭の中で伺って、完全に雫側へと立ち位置を移している。
雫「う~ん!・・まあ、こんなものかな?!」
「これでいいんじゃない?」
典史は彼女の偉そうな態度にムカつきはしたが、そんな事はおくびにも出さずに彼女へと言葉を選んで行く。
典史「相原選手、これでよろしいのですね?」
雫「まあ、これ位で勘弁してあげる!」
「仕方が無いなあ!」
「うふふっ!(笑)」
彼女のやる事なす事が向かっ腹に堪える彼であった。
だが、彼は己の足元を確認して、一つの確信を得る。
それは自由なままの膝下に有った。
典史(これなら何とか戦えるかもしれない!)
そして最後に彼女が彼の耳元に口を寄せて、何事かを伝えて来た。
雫「この勝負・・」
「負けた方は勝った方の言いなりに成るって云うのは・・どう?」
彼は一瞬躊躇したが、無条件で受け容れる事にした。
幾らハンデが有ろうとも女の子に負ける筈が無いと踏んだのである。
そしてこの勝負に勝てば、彼女は彼の云う事を何でも聞く様になる。
これまで彼女の我儘には散々苦労させられて来た苦い思いが彼には有った。
その状況を一変させる事態が巡って来たのだ。
彼は次第に、胸がワクワクする気持ちを抑える事が難しくなって来た。
彼の彼自身による負けられない戦いが、そこには有った。
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