雫「きゃははぁぁ~~!!(喜) うひゃぁぁ~!!」
彼女は場内に設置して有るウオータースライダーで何度も滑っては喜びを爆発させている。
ここの室内プールは公営には珍しく、本格的な高低差の在る滑り台が設置してあった。
呆れる彼を尻目に彼女は童心に帰ったかの如く、その遊びを身体いっぱいに満喫している。
そして、そんな彼女を見ながら彼も一安心と云った様子である。
雫「ヤッホー!!」
「ねえねえ! のりふみさんもやらない?!!」
「すっごく面白いよ~!!」
彼女は満面の笑みをたたえながら彼に向かって誘って来る。
だが、その時である。
典史「あっ!・・(雫!しずくっ!!)」
「(胸!!・・胸がヤバい!!)」
彼女は余りにもはしゃぎ過ぎてビキニのブラが上にズレていた。
雫「ええっ?!なに?」
彼の小声の忠告に彼女は全く気付いていない。
思い余った彼は、自らの胸に手を当てて彼女へジェスチャーで、その状況を伝えて行く。
雫(何よ?!・・・んっ?・・)
彼女は彼の仕草を見てから自分の胸に視線を落とす。
すると、彼女の目には乳首の見え掛かるズレたブラの姿が飛び込んで来たのだ。
雫「きゃあぁ!!・・・・・」
「・・・・・」
彼女は叫び声を途中でやめて彼の方へと視線を向ける。
雫「なんっ・・・(何でもっと早く教えてくれないのよっ!!)」
彼も小さな声で応酬する。
典史「・・(何でって!・・ちゃんと言ったよ!!)」
雫「(言ったって聞こえなきゃ意味無いじゃん!!)」
そりゃそうだと彼は納得する。
だが、一方的にこちらを責める彼女の態度にちょっぴりムカッとした。
典史「大体、君がそんな水着を着て来るから
こんな事になっちゃうんだよ!!」
雫「こ、こんなって・・」
「そもそも、貴方が水着を持って来いって言うから
わたし、プール付きの高級ホテルにでも
行くのかと思ったのっ!!」
典史「ええっ?!!」
「大体、僕にそんなお金が有る訳ないでしょ?!!」
彼女も、そりゃあそうだと納得する。
だが一度興奮した心は収まらない。
彼女は更に攻撃を仕掛けて行く。
雫「全く、女の子を誘うのに
何でこんなとこに来るかなあ~?・・」
「信じらんない!!」
典史「ぼ、僕だって信じられないよ!!」
「そんな”ちっぱい“の癖して
ビキニなんて着て来るんだからね!!」
雫「はああ~~??!!」
「ちっぱいだとぉ~?!!」
「そっちこそ正章にやられっぱなしじゃん!!」
二人は互いの触れられたくは無い部分に踏み込んで仕舞う。
そして暫しの沈黙の後。
雫「わたしっ!!かえるっ!!」
彼女は痺れを切らして自暴自棄となる。
典史「あ、そう!!」
「じゃ、帰ればっ?!!」
彼も売り言葉に買い言葉で返答して仕舞う。
二人は頭に血が昇っていた。
雫「・・・帰って、いいの?・・・」
「・・・・・」
「・・・じゃあ、かえ、る・・・」
彼女の大きな目には涙が溢れている。
彼はその涙を見て、ハッとした。
典史「しっ、雫!!」
「・・どうやって帰るんだよ?!!・・」
雫「しらないっ!!・・・」
「・・たぶん・・・でんしゃ・・」
典史「帰り方!!・・・分かるのか?・・」
雫「ふざけないで!!」
「わたし、もう子供じゃないの!!」
彼は拳を握り締めて耐え、そして後悔をし始めていた。
このまま彼女を帰して仕舞っては、取り返しの付かない事に成る。
典史「じゃあ!・・・じゃぁ、約束を
果たしてから・・・帰って貰う!!」
雫「・・・やく、そく?・・・」
典史「僕と・・・」
「・・俺とエッチしてから帰れ!・・」
「・・約束、だろ?・・」
彼女は頭の中が真っ白になって、只泣きながら立ち尽くしている。
彼はそんな彼女の手を引いて、プールサイドのベンチへと連れて行く。
典史(・・・しず、く?・・・)
雫「・・ぐすっ(泣)・・くすんっ・・」
二人は何も考えずに、否、考えられずに暫くの間手を繋いだままベンチに座って居た。
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