澪「桑島コーチ」
「晩御飯・・食べて行かれますよ、ね?」
典史「えっ?・・・あ、あぁ!」
「・・お願いします・・」
澪「じゃあ・・」
「これから作りますので
それまでテレビでも見て居て下さい」
彼女はまた、その姿を消して行く。
彼は目の前のテレビに映るニュース番組を見ながら、或る思いに耽っていた。
典史(花村のヤツ・・何を考えて?・・)
(まさか本当に俺と最後まで?・・・)
(いや、まさか?・・そんな事はあり得ないよ!)
(だとしたら・・・)
(一体、何の目的で?・・こんな事を?)
彼の思考は只、堂々巡りをするだけである。
そんな疑心暗鬼に囚われた彼の目の前に、彼女が料理を次々と運んで来る。
澪「お待たせ、です!」
「あっ!そうそう!」
「桑島コーチって、好き嫌いとか無い人ですか?」
典史「うん!僕は何でも食べられるよ!」
澪「やっぱり!!そうなんだ!」
「じゃあ、私の身体も大丈夫ですよね!」
彼女は突然、笑顔でとんでもない事を口走る。
典史「ん?!ああ!そうだね!・・・」
「・・???・・」
「ゲホッ?!! ゲホッ! ゲホッ!!」
「いっ、いきなり何言うの!!」
澪「さあっ!」
「食べましょ!!」
そんな彼女は、またまた装いを変えて来た。
上はホワイトのシルクブラウスにライトイエローのカーディガンを羽織り、肘まで軽く腕まくりをしている。
そして下は、ショーツラインが微かに透けて見える、ピッタリとしたホワイトの超ミニタイトスカートを履いている。
更に極め付きは、ソックスを履かない綺麗な生脚を惜しげもなく披露して、男心を強くくすぐって来る。
澪「イタリアン、ですけど」
「嫌いじゃありませんよね?」
典史「はっ、はあぁ~・・・」
彼は今、テーブルを挟んで向かい合っている彼女を見ながら溜め息を吐いている。
この家に着いた時には、彼女は確かにJCの清らかな少女であった。
そしてその後、彼女は妖艶な秘書姿となり現在は清楚な若奥様風である。
その、どの姿も美しく魅力的で彼の心を鷲掴みにして仕舞う。
そんな彼の頭の中では、どの彼女が本当の姿なのかが分からなくなって仕舞った。
典史「んっ?・・これって?・・」
「この何て料理か分からない、これ・・」
「滅茶苦茶美味い!!」
澪「本当ですか!!」
「嬉しいな!」
「それ、トマトとバジルのブルスケッタっていう
前菜なんです!」
典史「それから・・これは?」
澪「それはルッコラとレタスにモッツァレラチーズを加えて
バルサミコソースで和えたサラダです!」
典史「うん!これも美味い!!」
澪「あとね!これも食べて!」
「松の実とバジルソースのパスタ!」
「これもイケると思うんですけど・・」
典史「美味い!!」
「こんな美味いスパゲティ
・・初めて食べた!!」
澪「やった!!」
彼女は本当に嬉しそうな顔をして喜んでいる。
彼にとっては、その彼女の笑顔が一番の御馳走であった。
そんな二人の楽しいディナータイムは、あっという間に終わりを告げて行く。
典史「ふうぅ~!」
「お腹いっぱいだぁ~!」
彼女は満足そうにお腹をさする彼を見て、自らの心を温かさで満たして行く。
澪「ご満足頂けましたか?」
典史「最高の晩御飯だった!!」
「君って料理も得意なんだねぇ~」
澪「ふふっ!(笑)」
「お褒めの言葉!」
「ありがとうございます」
典史「君って人は料理が美味いし水泳も才能が有って
更に勉強も出来る」
「正に才色兼備ってヤツ、かな?」
澪「そんな・・」
「褒め過ぎ、です・・」
典史「そんな事、無い!!」
「僕は本当の事を言っただけだよ!」
彼女は彼の褒め言葉に気を良くして、一歩踏み込んだ言葉を口にする。
澪「じゃあ・・・」
「・・それなら雫と私・・」
「どちらの方が・・好き・・ですか?」
典史「花、村?・・・」
彼はいきなり究極の選択に迫られて仕舞った。
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